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Martin YoungライターJesse Coghlan監修編集者

AIが金融市場を壊す日? 中央銀行が警告する「暴走リスク」と規制の限界

最新ニュース公開日2026年7月8日

「AI市場とは、これまでとは違う付き合い方が必要だ」。英国の金融監視当局トップ、ニキル・ラティ氏は、新たな規制手段と、より協調的な市場対応の必要性を訴えた。

欧州の規制当局と中央銀行関係者が、急速に進化する「エージェント型AI」に警鐘を鳴らしている。ルール作りが技術の進歩にまったく追いつかず、金融システムを守るための“防波堤”が必要だというのだ。

イングランド銀行のサラ・ブリーデン副総裁も、懸念を表明した中央銀行関係者のひとりだ。ブリーデン氏は、市場が混乱した局面でエージェント型AIが相場の乱高下をさらに増幅させる可能性があると指摘している。

ブリーデン氏は火曜日、ポルトガル・シントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)の年次会合で、こう問題提起した

「欠陥のあるAIモデルが市場崩壊を引き起こした場合、市場全体の取引を制限、あるいは停止するサーキットブレーカーやキルスイッチのような安全装置が必要なのではないか」

AI投資と最先端モデル開発では、米国企業が先行している。一方、欧州の金融システムは、米国の株式市場に比べてAI分野へ資本を流し込む経路が少ない。ここで規制を慎重にしすぎれば、その差はさらに広がりかねない。AI企業が、より規制の緩い国や地域へ流れていく可能性があるからだ。

サイバー攻撃、金融リスク……ラガルド氏も「重大リスク」と警告

欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は木曜日、仏メディア「レゼコー」のインタビューで、AI技術は「重大なリスク」をもたらすと警告した

「この10年ほど、私たちはサイバーセキュリティ上のリスク、ハッキング、データ盗難などについて議論してきました」とラガルド氏は語った。

「しかし、AIモデルの加速と深化によって、私たちははるかに深刻なリスクに直面しています。なぜなら、それは非常に、非常に速いスピードで起きており、防御手段も、それに必要な資金も、まだ見つかっていないからです」

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一方、英国の金融行動監視機構(FCA)のニキル・ラティ最高経営責任者(CEO)は木曜日、CNBCの番組「スクワーク・ボックス」で、AI開発が急速に進む時代には従来型の規制サイクルは機能しないと述べた

「技術は信じられないほど速く進化しており、AIをめぐって起きているイノベーションについて、私たちは違う考え方をする必要がある」とラティ氏は語った。

「現実には、こうした技術の一部は数週間、あるいは数カ月単位で動いている。従来のルール作りのサイクルでは、とても対応できない。だからこそ、新しい道具と、市場とより協調して取り組む新たな方法を考える必要がある」

中央銀行関係者、とりわけ欧州の中銀関係者は、暗号資産についても同じような警告を発してきた。暗号資産が伝統的な金融システムを揺るがしかねない、という主張である。

AIバブル崩壊のリスクにも銀行関係者が警戒

国際決済銀行(BIS)は6月28日、AIをめぐる「熱狂」が重大な金融上の影響をもたらす可能性があると警告した。

BISによれば、中央銀行がインフレ抑制のために金融引き締めを行えば、長期にわたる過剰なリスクテイクの後で、AI関連資産価格が急落する可能性がある。その結果、「破壊的なマクロ金融のフィードバックループ」が引き起こされる恐れがあるという。

ブリーデン氏も、AI分野における債務による資金調達が急速に増えていると指摘した。

「そのため、AI関連資産価格が下落した場合の金融安定上の影響は、かなり大きくなり得ると判断した」と同氏は述べた。

さらに、国際通貨基金(IMF)金融資本市場局のトビアス・エイドリアン局長は6月30日、ブルームバーグのインタビューで、AI関連投資をめぐり「物理的資産の期間と債務の期間の間に、潜在的なミスマッチがある」と述べた。

つまり、AIデータセンターなど長期で回収する資産を、短期の借金で支えている構図が広がれば、金利上昇や資金繰り悪化の局面で一気にひずみが噴き出しかねない、というわけだ。

AIはもはや便利なツールでは済まされない。市場で自律的に判断し、売買し、資金を動かす存在になったとき、金融当局が恐れているのは「AIが暴走する未来」ではない。むしろ、暴走が始まった瞬間に、人間のルール作りが間に合わないという、すでに目の前にある現実なのである。

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