
AIの「計算力」が原油のように売買される?CFTCが先物取引を審査、CMEは10月開始へ
AIを動かす計算能力を、原油や電力のように先物市場で売買する時代が迫っている。CMEグループは10月5日の取引開始を目指すが、米規制当局が一般から意見を募る準備に入り、計画がずれ込む可能性も浮上した。

AIを動かす「計算力」が、ついに原油や電力と同じように売買される――。
米商品先物取引委員会(CFTC)は、コンピューティング能力を対象とする先物取引について、一般から意見を募る準備に入った。AI開発に欠かせない計算能力を、新たな資産クラスとして取引しようという動きが大手取引所の間で加速しているためだ。
ブルームバーグの8月17日の報道によると、CFTCは意見募集案をホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)に送り、審査を求めた。
この手続きが、計画にブレーキをかける可能性がある。
CMEグループとインターコンチネンタル取引所(ICE)は、いずれも「計算能力先物」の投入を準備している。しかし、商品を実際に上場するには規制当局の承認が必要で、意見募集が始まれば当初の日程がずれ込むことも考えられる。
ホワイトハウスによる審査が終われば、CFTCは一般からの意見募集を開始する見通しだ。ブルームバーグによると、募集期間は通常30日または60日となる。
つまり規制当局は、計算能力の価格を売買したり、将来の値上がりに備えてヘッジしたりできる市場を認めるべきか、なお慎重に検討しているということだ。
CMEは10月5日の取引開始を計画
CMEグループは先週、規制当局の承認を条件として、2種類の計算能力先物を10月5日に投入すると発表した。CMEの公式サイトでも、同日からの導入予定と規制審査中であることが示されている。
実現すれば、AIを動かすための計算能力が、原油や電力と肩を並べる「取引可能な商品」になる。
先物価格の算出に使う指標は、市場情報会社シリコン・データが提供する。同社はGPUのレンタル価格などを基に、計算能力の価格を測るベンチマークを開発している。CMEによる発表では、この仕組みによってAI開発企業やクラウド事業者、金融機関が価格変動リスクを管理できるとしている。
背景にあるのは、AIをめぐる空前の設備投資だ。
AIは経済と投資の風景を塗り替え、データセンターやコンピューティング基盤の建設ラッシュを引き起こしている。TDロンバード、ゴールドマン・サックス、ブリッジウォーター・アソシエイツの最近の試算によれば、2026年の米国におけるAIインフラ投資は、国内総生産(GDP)の約2~2.5%に達する見通しだ。
AI時代の「新しい原油」とも呼ばれる計算能力。その値段を先物市場で決める構想は、いよいよ規制当局を巻き込む段階に入った。

