
ドバイ、暗号資産の「トークン化」を本格推進 規制当局VARAがブラックロック支援のセキュリタイズと提携
ドバイの暗号資産規制当局VARAが、ブラックロックが支援するトークン化大手セキュリタイズと覚書を締結した。現実資産(RWA)のトークン化市場が急拡大するなか、ドバイは機関投資家を呼び込み、「トークン化金融」の世界的拠点を目指す。

ドバイの暗号資産規制当局である仮想資産規制庁(VARA)と、ブラックロックが支援するトークン化プラットフォームのセキュリタイズは、アラブ首長国連邦(UAE)およびドバイにおけるトークン化とデジタル資産インフラの発展を目的とした覚書(MoU)を締結した。
両者が木曜日に発表し、コインテレグラフにも共有した内容によると、今回の覚書では、規制下で進められるトークン化プロジェクトを支援するための協力体制を構築する。機関投資家の参入を促すとともに、ドバイのデジタル資産エコシステムを強化する狙いだ。
VARAとセキュリタイズは今後、VARA自身が主導するものも含め、ドバイで進められるトークン化プロジェクトを支援する。
さらに、関連分野の人材をドバイへ呼び込み、トークン化された金融商品をドバイの規制制度のもとでどのように運用すべきかについても検討を進める。
こうした動きはドバイだけではない。
金融テクノロジーに力を入れる世界各地の市場で、トークン化の導入が相次いでいる。
数日前には、ロンドン証券取引所が暗号資産取引所クラーケンと提携し、同取引所が運営する夜間取引市場でトークン化された株式の売買を開始する計画が報じられた。
週5日、1日24時間の株式取引を実現することが狙いだ。
トークン化は「主流の金融インフラ」へ
セキュリタイズの共同創業者兼CEOであるカルロス・ドミンゴ氏は、ドバイについて「デジタル資産イノベーションにおいて世界で最も先進的な法域のひとつ」と評価する。
トークン化が単なる「コンセプト」から「主流の金融インフラ」へと移行するなかで、規制当局との連携がこれまで以上に重要になると強調した。
ドバイ側も着々と布石を打っている。
7月初めには、VARAがトークン化プラットフォームのトライブ・トークナイゼーションFZEに50社目となる仮想資産サービスプロバイダー(VASP)ライセンスを付与している。
では今回の提携で、具体的にどのようなシステムや商品が生まれるのか。
VARAの広報担当者はコインテレグラフの取材に対し、今回の覚書について、特定の技術基盤や商品を開発することが主目的ではなく、両社が幅広く協力するための枠組みを作ることが中心だと説明した。
「VARAの規制当局としての視点と、セキュリタイズが持つ機関投資家向けトークン化の経験を組み合わせ、信頼できる規制下のトークン化市場をドバイで発展させるために、どの分野で協力できるのかを見極めることが狙いだ」
現時点では、覚書に基づく具体的なプロジェクトを発表する予定はない。
一方で担当者は、今回の協定が「ドバイにおける関連するトークン化プロジェクトを支援する」ための協力基盤になると付け加えた。

Total RWA asset value, all-time chart. Source: RWA.xyz
RWA保有者、わずか30日で2倍に
今回の発表の背景にあるのが、トークン化資産に対する投資家需要の急増だ。
データプロバイダーのRWA.xyzによると、現実資産(RWA)のトークン保有者数は過去30日間で103%増加し、320万人に達した。
つまり、わずか1カ月で2倍以上に膨らんだ計算だ。
トークン化資産の総額も同期間に2%増加し、385億ドル(約6兆円)に達している。
セキュリタイズは現在、トークン化資産の運用残高(AUM)が49億ドル(約7640億円)に達し、世界最大のトークン化プラットフォームとなっている。
これに続くのがオンド・ファイナンスで、運用するトークン化資産は35億ドル(約5450億円)に上る。
「実験」だったトークン化が、いよいよ既存の金融市場に組み込まれ始めた。
その主導権を誰が握るのか。ドバイとセキュリタイズの提携は、その競争が新たな段階に入ったことを示している。

