
暗号資産業界が米上院選に約19億円 “味方の議員”を送り込むため広告攻勢
暗号資産マネーが、米上院選に札束で殴り込みをかけている。フェアシェイク系PACはアラバマ州の共和党候補支援に約19億円を投入。ワシントンのルール作りを左右する“暗号資産議員”の送り込みが本格化している。

暗号資産企業が後ろ盾となる政治資金の奔流が、米アラバマ州の上院選にも押し寄せている。
フェアシェイク系の政治活動委員会(PAC)である「ディフェンド・アメリカン・ジョブズ」は、火曜日にアラバマ州で行われる共和党の決選予備選を前に、同党候補の米上院選出馬を支援するため、数百万ドル規模の資金を投じたと報告した。
米連邦選挙委員会(FEC)への提出資料によると、火曜日時点で、ディフェンド・アメリカン・ジョブズは共和党のバリー・ムーア候補を支援するメディア広告に470万ドル超、約7億5000万円を支出していた。これは、5月20日の予備選を前に同PACが報告していた740万ドル、約11億9000万円に上乗せされる格好だ。合計すれば、実に約1210万ドル、約19億4000万円に達する。
ムーア氏は、ドナルド・トランプ米大統領からも支持を受けている。対するは、同じ共和党のジャレッド・ハドソン氏だ。両氏は、トミー・タバービル氏の後任をめぐって争っている。タバービル氏は再選を目指さず、次期アラバマ州知事選に照準を合わせると表明している。

Source: Federal Election Commission
コインベース系の支援団体「スタンド・ウィズ・クリプト」は、ハドソン氏の暗号資産政策に対する姿勢を「中立」と評価。一方で、ムーア氏については「暗号資産を強く支持」と位置づけた。これは、ムーア氏がアラバマ州第1選挙区選出の下院議員として残してきた投票記録や、公の発言に基づく評価だ。
ハドソン氏は、自身の選挙戦が「ビッグ・クリプト」から支援を受けていないことを公に認めている。ただし、米上院で審議中の暗号資産市場構造法案については支持する姿勢を示している。
アラバマ州の決選投票は、米国選挙における暗号資産業界の影響力を測る、また一つの試金石となる。フェアシェイクとその関連PACはすでに、テキサス州やカリフォルニア州の予備選候補に対しても、メディア広告費として数百万ドルを投じてきた。
火曜日のアラバマ州での投票後も、同PAC陣営の勝負は続く。今月後半にはメリーランド州とニューヨーク州でも、下院選候補を支援する予定だ。民主党のエイドリアン・ボアフォ氏には約500万ドル、約8億円、リッチー・トーレス氏には約50万ドル、約8000万円のメディア広告費を投じる構えである。
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アンカレッジ・デジタルとチェーンリンクが支援するハイブリッドPAC「ブロックチェーン・リーダーシップ・ファンド」も、5月にムーア氏支持を表明していた。ただし、火曜日時点のFEC提出資料では、同PACによる関連支出は確認されていない。
一方で、カンター・フィッツジェラルドとアンカレッジから1100万ドル、約17億6000万円の支援を受ける別のPAC「フェローシップPAC」は、ムーア氏支援のために35万ドル、約5600万円を支出したと開示している。
フェアシェイクは1月時点で、1億9300万ドル、約309億円もの軍資金を保有していると報告していた。今年の米下院・上院選において、相当な影響力を発揮する下地はすでに整っている。同PACは、メディア広告を通じて「反暗号資産の政治家に対抗し、暗号資産に前向きなリーダーを支援する」と公言している。
上院の多数派が暗号資産法案の行方を左右する
現在の米議会では、民主党は下院・上院のいずれでも少数派に甘んじている。そのため、同党は2027年以降に両院の主導権を取り戻すべく戦っている。
一方、共和党は現在、上下両院で僅差ながら多数派を握っている。このため、暗号資産関連法案を含む政策議題を主導できる立場にある。その代表例が「デジタル資産市場明確化法」、いわゆるクラリティ法だ。
同法案は2025年7月に下院を通過したものの、上院では停滞している。争点となっているのは、ステーブルコインのリワード、倫理規定、そしてトークン化株式をめぐる議論だ。
暗号資産業界がなぜここまで巨額の資金を選挙に注ぎ込むのか。その答えは、きわめて単純である。
誰が議席を握るかで、暗号資産のルールが決まるからだ。

