
トランプ「暗号資産2290億円」の亡霊が襲う! 検察 vs ホワイトハウス、市場ルール法案『CLARITY法』が休会直前に大炎上
米上院が1カ月の長期休会に入るまで、残された時間はわずか数日——。暗号資産のルールを一変させる巨大法案「CLARITY法」に、検察官たちが「待った」をかけた。裏で蠢くトランプ大統領の"2000億円マネー"と、ホワイトハウスの本音とは。

残された時間は、もうわずか数日しかない——。
米上院が1カ月にわたる長期休会に突入する直前になって、審議中の暗号資産(仮想通貨)市場のルールを定める包括法案に、思わぬ"横やり"が入った。声を上げたのは、ほかでもない、法の番人であるはずの検察官たちである。
政治専門メディア「ポリティコ」が火曜に報じたところによれば、「全米連邦検事補協会」と「全米地区検事協会」が、ホワイトハウス宛てに一通の書簡を送りつけた。標的は「デジタル資産市場明確化法」、通称"CLARITY法"に盛り込まれた、開発者に関する条項だ。
検察側が突きつけた要求はこうだ。CLARITY法に含まれる「ブロックチェーン規制確実化法(BRCA)」の中で、開発者に関する指針が連邦法上の「刑事責任を新設・拡大・変更してはならない」——。要するに、"開発者を刑事罰から守る盾"に、待ったをかけたわけである。
この報道に、ホワイトハウスは真っ向から反発した。暗号資産政策を担当するパトリック・ウィット顧問は、検察側が提案した条項について、トランプ政権の立場とは「まるでかけ離れている」と一蹴。さらに、これが「建設的な交渉」の産物ではないことをにおわせた。報道によれば、キャサリン・コルテス・マスト上院議員は、採決の可能性が出てくる前にBRCA問題に決着をつけるよう、ホワイトハウスに圧力をかけ続けているという。
そもそも、CLARITY法をめぐっては、多くの民主党議員が猛反発している。その火種となっているのが、ドナルド・トランプ大統領自身の暗号資産投資に関する倫理規定だ。なにしろ、この投資でトランプ氏が2025年に手にした利益は、実に14億ドル(約2290億円)——。まさに"荒稼ぎ"である。この生々しいカネの匂いを前に、議会が紛糾しないはずがない。
水曜の時点で、ジョン・スーン上院院内総務(共和党)は、上院が地元活動期間(実質的な休会)に入る前の採決日程を、いまだに組んでいない。
米上院の地元活動期間は8月7日から9月14日まで。つまり議員たちに残されたのは、休会前、そして11月に控える2026年中間選挙という"厄介ごと"が絡んでくる前に、暗号資産市場のルールを成立させる、ごくわずかな窓口だけなのだ。スーン氏自身、先週の時点で記者団に対し、8月の休会前に法案を採決する可能性は低いと語っている。
コンサルティング会社「マーキュリー・ストラテジーズ」のパートナー、アン・ケリー氏は、月曜のX(旧ツイッター)投稿でこう指摘する。
「仮に今日CLARITY法が議題に上ったとしても、手続き上のステップ——討論終結動議(クローチャー)→修正手続き→2度目のクローチャー→最大30時間の討論——を踏まねばならない。手続きを省略する『全会一致の合意』がなければ、休会前に片づけるのは極めて困難だ。そして、こうした合意は、争いのある法案では滅多に得られない」
CLARITY法で、暗号資産の"監督権"がガラリと変わる可能性
この暗号資産市場ルール法案の最大のポイントのひとつが、デジタル資産に対する規制権限の大幅な"移譲"である。
現在は「米証券取引委員会(SEC)」が握っている監督権限を、大部分「米商品先物取引委員会(CFTC)」へと移そうというのだ。ところが、このCFTCという役所、執行や監督の問題に対処するための手段も人員も、SECに比べて心もとない。しかも両機関とも、いまや幹部クラスが深刻な人手不足に陥っている。CFTCの委員長はたった1人、SECの委員はわずか3人という有り様なのである。

