
ゴールドマン・サックス、不動産ファンドをトークン化 RWA市場で何が起きているのか
エイペックス・グループは、ゴールドマン・サックスのデジタル資産プラットフォーム「GS DAP」上で持分を発行する、トークン化不動産ファンドのファンド管理業務を担う。コインテレグラフが6月4日に報じた。

金融の本丸が、いよいよ不動産の“オンチェーン化”に踏み込んできた。
エイペックス・グループは、ゴールドマン・サックスのデジタル資産プラットフォーム「GS DAP」上で持分を発行する、トークン化不動産ファンドのファンド管理業務を担う。コインテレグラフが6月4日に報じた。
このファンドは、ゴールドマン・サックス、デジタル資産取引所のアーカックス、不動産投資マネージャーのLRCグループ、相互運用性プロバイダーのオウネラとともに組成されたものだという。
エイペックス・グループでデジタル資産部門のグローバル責任者を務めるアグネス・マズレク氏は、こう語った。
「機関投資家規模でのトークン化には、信頼され、規制されたインフラが不可欠です」
同氏はさらに、今回の参画は、運用会社や投資家の間でブロックチェーン・ネイティブなソリューションへの需要が高まっていることを示すものだと説明している。
今回のプロジェクトは、銀行、ファンド管理会社、規制下にあるデジタル資産企業が、現実資産、いわゆるRWAファンドをオンチェーンへ移そうとする流れを映し出している。ただし、従来型のガバナンス、投資家対応、規制監督の枠組みは維持する。そこが、いかにも機関投資家向けらしいところだ。
GS DAPで発行されるトークン化持分
ファンドの持分は、ゴールドマン・サックスの「デジタル・アセット・プラットフォーム」、通称GS DAPを使い、デジタルトークンとして発行される。GS DAPは、デジタル資産の発行、決済、カストディ、移転を支えるブロックチェーン基盤だ。
GS DAPは2022年に立ち上げられた。プライバシー重視のカントン・ネットワーク上に構築され、デジタル・アセット社のスマートコントラクト言語「DAML」を採用している。
ゴールドマン・サックスでデジタル資産部門のグローバル責任者を務め、デジタル・アセットの取締役でもあるマシュー・マクダーモット氏は、次のように述べた。
「GS DAP上でブロックチェーン・ネイティブなファンド持分を発行することで、不動産資産への投資をより精緻に行えるようになります。将来的には、よりシームレスな移転可能性も開かれるでしょう」

Source: Apex Group
今回の枠組みでは、汎欧州の不動産投資会社であるLRCグループがファンドを運用する。一方、RWAに注力する取引所アーカックスは、カストディアンおよび初期の販売パートナーを務める。
トークン化資産の接続ネットワークを手がけるオウネラは、発行体、カストディアン、販売チャネルをつなぐ相互運用性レイヤーを提供する。
エイペックスの広報担当者はコインテレグラフに対し、このファンドの正式名称は「LRC Tokenized Real Estate Fund SCSp, SICAV-RAIF」だと明らかにした。所在地はルクセンブルクで、欧州経済領域、つまりEEA全域で販売されるという。
担当者によれば、エイペックスは2025年からこのプロジェクトに関与しており、ゴールドマン・サックスのGS DAPやオウネラと連携してきた。ファンドは2026年4月27日にローンチされ、同日に初のトークン発行が行われたという。
関連記事では、トークン化された民間信用の急拡大を背景に、RWA市場が510億ドル、約8兆1600億円規模に達したとも報じられている。
今回の取り組みにより、機関投資家向けトークン化の対象に、不動産が本格的に加わることになる。すでにトークン化マネー・マーケット・ファンド、プライベートファンド、担保ネットワークなどでは同様の試みが広がっていた。
エイペックス・グループは3月にも、米暗号資産取引所コインベースと連携し、ベース・ブロックチェーン上でトークン化されたビットコイン利回りファンドを立ち上げている。
また、JPモルガンなど他の投資銀行も、決済、担保、資産トークン化に焦点を当てた「キネクシス」を通じ、トークン化インフラの拡充を進めている。

