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Turner WrightライターSam Bourgi監修ライター

トランプ氏、デジタルドル禁止法案に署名拒否 それでも自動成立へ──暗号資産業界を揺らす「2,264億円利権」の火種

最新ニュース公開日2026年7月13日

米国でCBDC、つまり「デジタルドル」の発行を禁じる条項を含んだ超党派の住宅法案が、トランプ大統領の署名なしに成立する見通しとなった。大統領は法案に署名しない意向を示し、共和党議員を「愚かだ」と罵倒。だが、法案は憲法上の期限切れにより自動成立へ。暗号資産業界では、いま上院で審議中の市場構造法案「クラリティ法」にも同じ火の粉が降りかかるのではないかとの懸念が広がっている。

米国で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行禁止を盛り込んだ超党派の住宅法案が、ドナルド・トランプ大統領の署名を待たずして成立する見通しとなった。

問題の法案は「21世紀ROAD住宅法」。金曜日の午前0時を少し回れば、この法案はトランプ氏の手元に置かれてから、日曜日を除いて10日が経過することになる。これは、米大統領が拒否権を行使するか署名するかを決めるために認められた最大期間だ。

米国憲法の規定により、トランプ氏が何もしなければ、この法案はそのまま自動的に法律となる。なお、トランプ氏は6月24日に予定されていた同法案の署名式をキャンセルしていた。

トランプ氏は金曜日、自身のSNSへの投稿で、住宅法案には署名しないと明言した。さらに、この法案に賛成した議会共和党議員を「愚かだ」と批判し、上院に対しては、物議を醸している投票関連法案「SAVEアメリカ法」を優先するよう求めた。

SAVEアメリカ法は、有権者登録の際に、本人が対面で米国市民権を証明することを義務づける内容だ。しかし、すでに投票資格を持つ市民の投票機会を奪う恐れがあるとして、幅広い批判を浴びている。

Source: Donald Trump

6月に下院と上院を通過したこの住宅法案は、民主・共和両党の支持を受けて成立目前まで進んでいた。その中には、米連邦準備制度理事会(FRB)がCBDC、または「それに実質的に類似するデジタル資産」を発行・創設することを、2030年12月31日まで禁じる文言が含まれている。

多くのアナリストは、この「デジタルドル禁止」条項を、共和党の支持を取りつけるための政治的な譲歩と見ていた。もっとも、トランプ氏は金曜日の投稿で、CBDC禁止については一切触れなかった。

同法案の共同提案者であるエリザベス・ウォーレン上院議員は、トランプ氏の対応についてこう批判した。

「彼は、過去30年で最大の住宅法案への署名を拒んでいる」

そのうえで、ウォーレン氏はこう付け加えた。

「良いニュースは、それでもこの法案は法律になるということだ」

トランプ氏の“放置プレー”は暗号資産市場構造にも飛び火するのか

トランプ氏は5月、デジタル資産規制を「将来に耐えられるものにする」と述べていた。だが今回、SAVEアメリカ法とは無関係の法案への署名を拒んだことで、上院で審議されている「デジタル資産市場クラリティ法(CLARITY法)」も、同じような扱いを受けるのではないかとの疑問が浮上している。

クラリティ法は、デジタル資産規制に大きな影響を与える最重要法案のひとつと見られている。すでに下院を通過し、上院の重要な2つの委員会も通過している。

議会共和党の指導部は、議員らが州での活動期間を終えて月曜日に戻り次第、7月中にも同法案が上院本会議で採決にかけられると見込んでいる。

しかし、トランプ氏と暗号資産業界の深い関係は、すでに民主・共和両党による市場構造法案の協議を複雑にしている。

トランプ氏は2025年、ミームコインや一族のワールド・リバティ・ファイナンシャルを含む暗号資産関連事業から、14億ドル超、日本円で約2,264億円超の収入を得たと開示している。

つまり、米国の「暗号資産ルール作り」は、いまや単なる金融規制の話ではない。デジタルドルを潰したい共和党、暗号資産ビジネスと近すぎる大統領、そして市場構造を整理したい議会。三者の思惑が絡み合い、米国の暗号資産政策はまたしても政治の泥沼に足を取られつつある。

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