
台湾、暗号資産の国内送金は「少額でも逃げられない」 10月から本人情報の通知が義務に
台湾の金融監督管理委員会(FSC)が、暗号資産交換業者間の国内送金すべてにトラベルルールを適用する方針を発表。3万台湾ドル(約14万6000円)を超えると、送金者の生年月日や住所まで開示対象になる。

台湾で、暗号資産(暗号通貨)を巡る「抜け道」がまた一つ塞がれることになりそうだ。
台湾の金融監督管理委員会(FSC、日本の金融庁に相当)は8月5日(火)、暗号資産交換業者(VASP)同士の国内送金について、金額の大小を問わず送金者情報の通知を義務付ける規則改正案を発表した。施行は今年10月を予定している。
対象となるのは、国際的なマネーロンダリング対策の枠組み「トラベルルール」だ。国際組織FATF(金融活動作業部会)が定めるこのルールは、暗号資産の送金時に「誰が」「誰に」送ったかという情報を、取引所間でやり取りすることを求めるもの。
今回の台湾案の「本気度」がうかがえるのが、金額による免除枠を設けない点だ。多くの国・地域では一定額以下の送金には情報通知を免除する運用が一般的だが、台湾はこれを認めない方針とみられる。
さらに、新台湾ドルで3万元(日本円で約14万6000円、1米ドル=157.7円換算で約930米ドル)を超える送金には、より詳細な情報開示が求められる。個人であれば生年月日と自宅住所、法人であれば登記番号と登録住所まで、送金元の交換業者から受取側の交換業者へ通知しなければならない。受け取る側の交換業者も、送られてきた受益者情報を自社の顧客データと突き合わせて照合する義務を負う。
将来的には海外送金にも拡大へ
FSCは、この枠組みを台湾国内の交換業者と海外の交換業者との間の送金にも広げる方針で、2027年末までの実施を目指すとしている。
台湾は2021年の時点で、マネーロンダリング対策規則の中にトラベルルールの規定自体はすでに盛り込んでいた。しかし各国で規制の中身が異なること、情報伝達の技術規格が統一されていないこと、国境をまたぐシステム連携が難しいことなどを理由に、実際の運用は見送られてきた経緯がある。今回の改正案は、まもなく30日間のパブリックコメント(意見公募)手続きに入るという。
世界的には「義務化」が主流に
暗号資産のトラベルルールを巡っては、世界的に導入が進む一方で、足並みはまだ揃っていない。FATFが7月に公表した調査によると、調査対象となった法域のうち83%がすでにトラベルルール関連の法整備を終えており、これは2025年の73%から上昇した。ただしFATFは、実際の運用や取り締まりの面では依然として大きな「抜け穴」が残っていると警告している。
台湾の暗号資産業界にとって、10月はまさに正念場となりそうだ。

