
「IPOまでオンチェーン化」ウォール街が本気参戦 株式トークン化が19億ドル突破へ
株式のIPOまでブロックチェーン上で実施する時代が現実味を帯びてきた。トークン化大手セキュリタイズと投資銀行キャンター・フィッツジェラルドが提携し、オンチェーンIPOの実現に向けて動き出した。ウォール街でも株式トークン化への取り組みが加速している。

ブロックチェーンを活用した株式市場の構築が、新たな段階に入った。
現実資産(RWA)のトークン化を手掛けるセキュリタイズと米投資銀行キャンター・フィッツジェラルドは16日、ブロックチェーン基盤を利用した新規株式公開(IPO)や追加株式発行(フォローオン・オファリング)を支援するための提携を発表した。
IPOも「トークン化」の時代へ
両社は、既存の証券規制を維持したまま、株式をトークン化して資金調達できる新たな仕組みを構築する。
この枠組みでは、新規株式公開(IPO)だけでなく、すでに上場している企業が追加で株式を発行して資金を調達するフォローオン・オファリングにも対応する予定だ。ブロックチェーンの透明性や業務効率、投資家へのアクセス拡大といった利点を取り込みながら、従来の資本市場の制度内で運用される。
セキュリタイズとキャンターが役割分担
提携では、セキュリタイズがデジタル証券の発行、流通、管理を担うトークン化インフラを提供する。
また、米証券取引委員会(SEC)登録の証券会社「セキュリタイズ・マーケッツ」が募集や決済にも参加する。
一方、キャンター・フィッツジェラルドは、IPOや公募増資で培ってきた株式資本市場業務やトレーディングのノウハウを提供し、従来型金融とブロックチェーンを橋渡しする役割を担う。
ウォール街でも株式トークン化が加速
今回の提携は、トークン化証券が伝統的な金融市場へ本格的に浸透し始めたことを示す象徴的な動きだ。
これまでトークン化市場では、米国債やプライベートクレジットが中心だったが、現在は上場株式そのものをブロックチェーン上で発行・流通させる取り組みが急速に広がっている。
セキュリタイズは今月、キャンター・フィッツジェラルドが支援したSPAC(特別買収目的会社)との合併を経てニューヨーク証券取引所(NYSE)へ上場した。現在、同社は40億ドル(約5920億円、1ドル=148円換算)を超えるトークン化資産を運用している。
株式トークン化市場は約2800億円規模に
RWA.xyzによると、オンチェーン上のトークン化株式の時価総額は過去30日間で16%増加し、約19億ドル(約2810億円)に達した。
暗号資産市場全体が伸び悩むなかでも、株式トークン化は高い成長率を維持しており、機関投資家からの注目も高まっている。

The value of tokenized stocks has grown rapidly over the past year.
Source: RWA.xyz
JPモルガンやゴールドマンも実証実験へ
ウォール街では、さらに大規模な取り組みも始まろうとしている。
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、証券決済機関DTCC(米証券保管振替機関)は、JPモルガンやゴールドマン・サックス、ブラックロック、ニューヨーク証券取引所(NYSE)など約40社と共同で、株式や米国債のトークン化実証実験を開始する予定だ。
対象にはマイクロソフト株やステーブルコイン発行企業サークル株、S&P500指数やナスダック100指数、米短期国債に連動するETFなどが含まれる見通しだ。
株式の発行から売買、決済までをブロックチェーン上で完結させる仕組みは、実証段階から実用化へ向けて大きく動き始めている。

