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Zoltan VardaiライターRobert Lakin監修編集者

【激震】ステーブルコインで利回り禁止へ?米銀行が猛反発「預金が消える」と大騒ぎ

最新ニュース公開日2026年7月15日

米銀行協会など78団体が、暗号資産規制法案「クラリティ法」の修正を米上院に要求した。ステーブルコインで利回りや報酬を受け取れる仕組みが残れば、銀行預金から資金が大量流出しかねないという。法案成立を急ぐ暗号資産業界と、既得権益を守りたい銀行業界の対立が、いよいよ全面戦争の様相を呈している。

米国の銀行業界が、暗号資産規制法案をめぐって一斉に“待った”をかけた。

現在、米議会で審議されている「デジタル資産市場明確化法」、通称「クラリティ法」をめぐり、米銀行業界の幅広い団体が、ステーブルコインの利回りに関する条項を修正するよう上院指導部に求めている。

問題視されているのは、ステーブルコインを保有する利用者に対し、利息や利回り、各種報酬を提供する仕組みだ。

米銀行協会(ABA)、米独立系コミュニティ銀行協会(ICBA)、さらに全米76の州銀行協会は、上院指導部に連名の書簡を送付した。

銀行団体側は、現行法案におけるステーブルコインの利息、利回り、報酬に関する表現が曖昧すぎると主張。決済用ステーブルコインが、単なる送金・決済手段ではなく、銀行預金の代替商品として使われることを防ぐため、新たな修正が必要だと訴えた。

「決済手段のはずが、事実上の預金商品になる」

銀行団体はクラリティ法全体については支持する姿勢を示している。

しかしABAは、法案に残された曖昧な表現によって、ステーブルコインが事実上、銀行預金の代わりとして機能する恐れがあると警戒している。

ABAが月曜日に公表した声明によると、書簡では次のような懸念が示された。

法案の曖昧さによって、ステーブルコインを使ったサービスが、実質的に預金の代替商品として機能する可能性があるというのだ。

これは、決済用ステーブルコインを「価値を貯蔵するための商品」ではなく、「取引や決済に使うための道具」と位置付けてきた米議会の長年の方針に反すると銀行側は主張している。

要するに、銀行側が恐れているのはこういうことだ。

銀行口座に預けても大した金利がつかない一方で、ステーブルコインを持っているだけで高い利回りやポイントが得られるようになれば、利用者は銀行から資金を引き出し、暗号資産サービスへ移してしまう。

銀行にとっては、商売の土台である預金そのものを奪われかねないのである。

銀行側が恐れる「預金逃避」

今回の動きは、クラリティ法に盛り込まれたステーブルコインの利回り条項に対する、米銀行業界からの最新の反発となる。

法案は金曜日に米下院で公聴会が予定されており、その直前に銀行側が圧力を強めた格好だ。

クラリティ法は、米国で初となる包括的な暗号資産市場の規制枠組みを構築することを目的としている。

銀行団体は、現在の法案では「預金逃避」が発生する危険があると指摘した。

そこで、法案の第404条を修正し、利息や利回りの提供禁止をより明確にするよう要求している。

さらに、表向きは利息ではないポイントや特典、その他の報酬制度を使って、規制が骨抜きにされることも防がなければならないと訴えた。

つまり銀行側は、「利息」という名前を使わなければ何でも許される、という抜け道を塞ごうとしているわけだ。

年内成立の確率は「50%」まで低下

銀行業界の反発が強まったことで、暗号資産投資会社ギャラクシー・デジタルが示していた悲観的な予測にも、現実味が増している。

ギャラクシー・デジタルは、上院が年内に法案を可決するために残された時間は少なくなっていると分析している

上院の休会が迫っていることに加え、議会にはほかにも優先度の高い法案が山積しているためだ。

同社は6月26日、クラリティ法が2026年中に成立する確率を50%に引き下げた。

その理由として、上院銀行委員会と上院農業委員会の間で統一された法案文がまとまっていないこと、本会議での審議日程が確定していないこと、さらに議員らがワシントンを離れるまでの立法期間が狭まっていることを挙げた。

ABA, ICBA join state associations in urging Senate to strengthen stablecoin yield provisions in Clarity Act. Source: ABA.com

銀行と民主党がそろって反発

クラリティ法は5月、上院銀行委員会を通過した。

しかし、その後は民主党議員や銀行業界から強い反発を受けている。

批判する側は、現在の法案では暗号資産企業が、従来の銀行と同じ規制や義務を負わないまま、ステーブルコインの保有者に利回りを提供できてしまうと主張している。

銀行から見れば、これは明らかな“不公平競争”だ。

銀行は厳しい自己資本規制や流動性規制、預金保険制度、本人確認義務などを課されている。

一方、暗号資産企業がそれらの負担を負わずに、銀行預金より魅力的な利回り商品を提供できるのであれば、銀行側が黙っているはずもない。

JPモルガンのダイモンCEO「徹底的に戦う」

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も、銀行業界を代表するかのように強硬姿勢を示している。

ダイモン氏は5月のインタビューで、銀行業界は現在のクラリティ法に対して今後も「戦い続ける」と発言した。

さらに、ステーブルコインで利回りを支払いたい暗号資産企業は、銀行免許を申請するべきだと主張した。

暗号資産企業が銀行と同じことをするのであれば、銀行と同じ規制を受けろ――という、極めて分かりやすい論理である。

法執行機関からは法案支持の声

一方で、クラリティ法を支持する勢力も拡大している。

米連邦法執行官協会(FLEOA)は金曜日、上院銀行委員会に書簡を提出し、クラリティ法を支持すると表明した。

米国の主要な法執行機関関係団体が公に法案を支持したのは、これが2例目となる。

ただしFLEOAは、無条件で法案を支持しているわけではない。

分散型金融(DeFi)における責任追及の仕組みを強化することや、捜査当局が現在持っている権限を維持することも求めた。

暗号資産市場に法的なルールを設けることには賛成だが、犯罪捜査の手足まで縛られては困る、という立場だ。

暗号資産業界200社超は「早く通せ」

暗号資産業界は、銀行側とは正反対の方向から上院に圧力をかけている。

6月上旬には、暗号資産企業や関連団体200社以上が、クラリティ法を早期に可決するよう求める書簡を米上院に提出した。

この書簡は、暗号資産ロビー団体「スタンド・ウィズ・クリプト」を通じて公表された。

暗号資産企業側にとって、最大の問題は規制が存在することではない。

何が合法で、何が違法なのかが分からない状態が長く続いていることである。

クラリティ法が成立すれば、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄区分を含め、暗号資産市場の基本的なルールが明確になると期待されている。

だが、ステーブルコインで利回りを提供できるのかという問題をめぐり、銀行業界と暗号資産業界の利害は真っ向から衝突している。

利用者にとって魅力的な利回りは、銀行にとっては預金を奪う脅威だ。

クラリティ法の審議は、暗号資産をどう規制するかという話だけではない。

誰が米国民のカネを預かり、その利益を得るのか――金融業界の主導権をめぐる争いでもある。

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