
ビットコイン版BOは勝てる人が決まっていた?スタンフォード大学が価格操作を指摘
スタンフォード大学などの研究チームは、ポリマーケットの5分間ビットコイン予測市場が、決済直前の価格操作を誘発する設計になっている可能性を指摘した。研究では、一般投資家から約128万ドル(約1億9,200万円)が巧妙なトレーダーへ移転したと推計されている。

「5分後にビットコイン(BTC)が上がるか、下がるか」。
そんなシンプルな予測市場が、実は市場操作を誘発していた可能性が浮上した。
スタンフォード大学とシンガポール・マネジメント大学(SMU)の研究チームは、予測市場「ポリマーケット(Polymarket)」で提供されている5分間のBTC予測市場について分析。その結果、一部の高度なトレーダーが決済直前に現物市場の価格を意図的に動かし、一般投資家の損失を利益へと変えていた可能性があると結論付けた。
「決済価格」を狙った価格操作
研究対象となったのは、「5分後にBTC価格があらかじめ設定された価格より上か下か」を予測する契約だ。
この契約は、各5分間の終了時点におけるBTC価格を基準として決済される。価格データにはチェーンリンク(Chainlink)の価格フィードが採用されている。
そのため、大口トレーダーにとっては、決済直前だけ現物市場で売買を集中させ、BTC価格をわずかに動かすことで、自身が保有する予測契約を有利に決済できるインセンティブが生まれる構造になっていたという。
注文急増→直後に価格反転
研究チームは、ポリマーケットが2024年7月にこの5分契約を導入する前後の取引データを比較した。
すると、決済直前になるとBTC現物市場の注文が急増し、その直後には価格が急速に反転する現象が繰り返し確認された。
こうした値動きは、決済価格を狙った市場操作と整合的なパターンだったとしている。
さらに研究では、この仕組みによって調査期間中に約128万ドル(約1億9,200万円、1ドル=150円換算)が一般投資家から市場操作を行った参加者へ移転したと推計した。
「5分」が問題だった
一方で研究チームは、「予測市場そのものが危険」という結論ではないと強調している。
実際、契約期間を5分から15分へ延長すると、この市場操作の影響はほぼ確認されなくなったという。
また、
- 決済時間を長く設定する
- 一時点の価格ではなく時間加重平均価格(TWAP)を採用する
といった設計変更によって、不正な価格操作リスクを大幅に抑えられる可能性があるとしている。
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暗号資産だけの問題ではない
この問題は暗号資産市場に限らない可能性もある。
論文では、NasdaqやCboeといった伝統的な金融取引所も、資産価格と連動するイベント契約(Event Contracts)の導入を進めていることに言及。
予測市場が規制下の金融市場へ広がるなか、契約設計そのものが市場の公正性を左右する重要な要素になっていると指摘した。
FIFAワールドカップで予測市場は過去最大規模に
一方、予測市場全体は急拡大を続けている。
2026年6月には、FIFAワールドカップの開催を背景に取引高が過去最高を更新した。
DeFiLlamaのデータによると、
- カルシ(Kalshi):約94億ドル(約1兆4,100億円)
- ポリマーケット・インターナショナル:約43億ドル(約6,450億円)
の月間取引高を記録した。
さらに、ワールドカップ優勝国を予想する市場だけでも累計約54億ドル(約8,100億円)が取引されており、
- ポリマーケット:約42.5億ドル(約6,375億円)
- カルシ:約12億ドル(約1,800億円)

World Cup winner bets on Polymarket. Source: Polymarket
規制当局との法廷闘争も激化
市場拡大と同時に、法規制を巡る争いも激しくなっている。
今年に入り、米国の複数州はカルシやポリマーケットに対し法的措置を講じている。
これに対し、米商品先物取引委員会(CFTC)は、連邦規制下のイベント契約は州のギャンブル法ではなく、自らの「専属管轄」に属すると主張している。
この問題は現在、連邦裁判所で審理が進められており、判決が割れた場合には、最終的に米連邦最高裁判所が、州政府とCFTCのどちらが予測市場を監督する権限を持つのか判断する可能性もある。

