
予測市場カルシに規制包囲網 「投資を装ったスポーツ賭博」問題、米最高裁判断へ発展か
米ミシガン州の裁判所は、予測市場プラットフォーム「カルシ」に対し、州内住民向けのイベント契約提供を差し止める仮処分命令を出した。ニュージャージー州も連邦最高裁に判断を求めており、予測市場をめぐる規制の主導権争いは、いよいよ全米規模の法廷闘争へ発展しつつある。

米ミシガン州のダナ・ネッセル司法長官は、同州裁判所が予測市場プラットフォーム「カルシ」に対し、州内住民向けのサービス提供を差し止める仮処分命令を出したと発表した。州当局はこれを「投資機会を装ったスポーツ賭博」と断じている。
ネッセル司法長官は9月2日の発表で、インガム郡の第30巡回裁判所が、カルシによる州内住民向けのイベント契約提供を禁じる命令を認めたと明らかにした。命令に違反した場合、同社には1日あたり最大50万ドル、約7813万円の罰金が科される可能性がある。
ネッセル氏はこう切り捨てた。
「カルシは長らく、わが州で合法的なゲーミング事業者であるかのように振る舞ってきた。今回の命令により、ミシガン州民が同社の略奪的で無免許の行為からさらに守られることになり、安堵している」
今回のミシガン州裁判所の判断は、カルシやポリマーケットのような予測市場企業と、米国各州当局との間で続く一連の法廷闘争の最新事例だ。ネッセル氏は3月、カルシがスポーツ賭博に関する州法に違反しているとして提訴していた。これは、全米各地で起きている同種の訴訟でも繰り返されている主張である。
特筆すべきは、今回の仮処分命令に先立ち、ミシガン州裁判所が6月にもカルシに対し、州内住民向けのスポーツ賭博提供を禁じる一時的差し止め命令を出していた点だ。
これに対し、米商品先物取引委員会(CFTC)はカルシに対し、州裁判所の命令に従わず、営業を続けるよう命じた。カルシはこの状況について、自社が「不可能な立場」に置かれていると説明していた。
カルシの広報担当者は、6月の命令後に出した声明を改めて示し、同社はミシガン州の判断に同意しておらず、「法廷で争う」と述べた。一方で、裁判所が課した制限には従っているとも説明している。
ニュージャージー州は連邦最高裁に判断求める
ミシガン州裁判所の命令が出された同じ日、ニュージャージー州当局もカルシをめぐる訴訟について、米連邦最高裁に裁量上訴の申立てを行ったと発表した。
連邦最高裁がこの件を審理することになれば、予測市場を管轄するのはCFTCなのか、それとも各州当局なのかという、真っ向から対立する法理論に決着がつく可能性がある。
ボストンのニューイングランド・ローで実務教授を務めるメリンダ・ロス氏は、コインテレグラフに対し、次のように語った。
「最高裁がこの問題を取り上げるのは合理的だろう。ただし、仮処分を認めるかどうかといった手続き上の問題ではなく、本案について各訴訟の判断が出るまで待つ可能性もある」
それでもロス氏は、いずれ連邦最高裁がこの問題に踏み込むとの見方を示す。
「ニュージャージー州の申立てでなくとも、この分野では訴訟が多数進行している。近いうちに最高裁が取り上げることになると、私はなお考えている」
ロス氏はさらに、こう続けた。
「仮に最高裁がこの問題を取り上げれば、スポーツイベント契約がCFTCによって連邦レベルで規制されるべきものなのか、それとも各州が自らの判断で禁止または規制する権利を持つのかが、おそらく決まることになる。『おそらく』と言うのは、連邦議会が動く可能性もあるからだ。議会は最高裁の審理前に動くことも、審理後に動くこともあり得る」
米国の一部議員は、カルシやポリマーケットの顧客がイベント契約でインサイダー情報を利用する問題に対応するための法案を提案している。
3月には、アダム・シフ上院議員とジョン・カーティス上院議員が、CFTCに登録されたプラットフォームに対し、「スポーツ賭博またはカジノ型ゲームに類似する」イベント契約の上場を禁止する法案を提出した。同法案は、こうした契約の管轄を各州当局に委ねる内容となっている。
予測市場を「金融商品」と見るのか、「賭博」と見るのか。その線引きをめぐる争いは、カルシ1社の問題にとどまらない。CFTC、州政府、連邦議会、そして最高裁までも巻き込みながら、米国の暗号資産・フィンテック規制の次なる火種になりつつある。

