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Helen PartzライターYohan Yu監修ライター

バイナンスは欧州から追放されるのか MiCA申請却下報道でECB関与疑惑が急浮上

最新ニュース公開日2026年6月21日

弁護士らは、MiCAの規則上、欧州中央銀行(ECB)が申請審査のさなかに各国の規制当局と接触すること自体は禁じられていないと指摘する。とはいえ、暗号資産ライセンスを出すか否かの“決定権”は、なお加盟国の手にある。

バイナンスによる欧州連合(EU)の暗号資産規制「MiCA(暗号資産市場規制)」に基づくライセンス申請が、ギリシャで暗礁に乗り上げている。この一件をめぐり、正式な認可権限を持たないはずの欧州中央銀行(ECB)が、非公式にプロセスへ関与したのではないか――そんな疑問が浮上している。

MiCAでは、暗号資産サービスプロバイダー(CASP)のライセンス認可は、各国の管轄当局(NCA)が担うことになっている。だが法律専門家らはコインテレグラフに対し、MiCAの文言上、ECBを含むEU機関が審査過程で各国当局と意見交換することまでは禁じられていないと指摘した。

「MiCAの枠組み上、ECBのような第三者が、バイナンスの申請について当該国の当局に意見を述べることを妨げる規定はありません」

こう語るのは、レスペランス&アソシエイツ創業者のデイビッド・レスペランス氏だ。

仏メディア「ザ・ビッグ・ホエール」は水曜日、匿名筋の話として、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁がギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相に対し、「バイナンスは欧州で歓迎されていない」との趣旨を伝えたと報じた

この報道に先立ち、ロイターは火曜日、ギリシャの市場規制当局がバイナンスのMiCA申請を却下する見通しだと伝えていた。

一連の報道が出たのは、MiCAの移行期間が7月1日に終了するまで2週間を切ったタイミングだった。この期限を過ぎれば、暗号資産企業がEU域内でライセンス制度の下、引き続き事業を行えるかどうかが決まる。

MiCAでは、実際に誰が決めるのか

MiCAの下でCASPライセンスを付与するのは、ECBのようなEUレベルの機関ではない。権限を持つのは各国の規制当局だ。

バイナンスのギリシャにおける申請の場合、その権限はギリシャ資本市場委員会(HCMC)にある。バイナンスは1月、ギリシャでMiCAライセンスを申請したと明らかにしていた。

ロイター報道を受け、バイナンスはブログ投稿で次のように説明している

「当社の理解では、HCMCは申請の審査を完了し、MiCAの要件を満たしていると判断していました。また、申請は欧州証券市場監督機構(ESMA)レベルでの審査対象にもなっていたと理解しています」

バイナンスの広報担当者はコインテレグラフに対し、同社としてはESMAが今後の理事会で申請を前進させ、認可に進める意向だったと考えていると述べた。ただし、追加の確認要請には回答しなかった。なお、ESMA自体はMiCAの下でCASPライセンスを認可する権限を持っていない。

デジタル&アナログ・パートナーズの弁護士、ユーリー・ブリソフ氏は、HCMCはバイナンスの申請について、まだ決定を公表していないと説明した。

関連記事: EUで暗号資産取引所が営業できなくなる?ビットゴーがMiCA対応サービス開始、バイナンスにも不透明感

ブリソフ氏によれば、MiCAには「ECBが各国規制当局と話したり、助言したり、懸念を共有したりすることを止める規定は何もない」。ただし、ECBの関与が明確に定められているのはMiCAの一部に限られるという。特にステーブルコイン発行者に関する規則であり、バイナンスのような取引所のCASPライセンスではない。

「その懸念は、MiCAではステーブルコインの章に置かれているのであって、取引所ライセンスの章にあるわけではありません」

Source: EUR-Lex

ブリソフ氏はそう付け加えた。

ステーブルコインが政治問題を大きくする

ECBはこれまで、民間企業が発行するステーブルコインについて、一貫して警戒感を示してきた。中央銀行マネーを基盤とするトークン化された金融インフラを支持し、民間ステーブルコインに過度に依存することには慎重な姿勢を取っている。

ザ・ビッグ・ホエールによれば、ラガルド氏の介入とされる動きも、ステーブルコイン問題に関連していたという。

ラガルド氏は、欧州は民間ステーブルコインに頼るのではなく、規制された決済システムを優先すべきだと主張してきた。さらに、ECB専務理事のイザベル・シュナーベル氏は、ステーブルコインが米ドル支配をかえって強める可能性があると警告している。

一方、市場データは、バイナンスが世界最大のステーブルコイン取引所であり、ステーブルコイン流動性の中心地であることを示している。

Source: Binance

2月に報じられたクリプトクアントのデータによると、バイナンスは約475億ドル、円換算で約7兆6000億円相当のステーブルコインを保有していた。これは、中央集権型取引所全体のステーブルコイン準備金の約65%に相当する。

この数字は、1年前の約359億ドル、約5兆7400億円から増加していた。

関連記事: スウェーデン版ステーブルコイン「SEKAU」登場 オールユニティがMiCA準拠で本格展開

ザ・ビッグ・ホエールはまた、バイナンスに残されたルートとしてフランスの可能性もあると報じている。ただし、フランスで正式な申請はまだ提出されていないという。

ESMAとHCMCは、コインテレグラフのコメント要請にすぐには応じなかった。ECBとフランスの金融市場庁(AMF)はコメントを控えた。

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