
米トラッド・ファイ、製造業向け融資1040億円分をブロックチェーン化へ
トラッド・ファイは、最大6億5000万ドル、約1043億円規模の設備金融クレジットをオンチェーン化する計画だ。狙うのは、いまだ紙の書類に支配されたままの、米国の1兆ドル規模の巨大市場である。

米国の設備金融プラットフォーム、トラッド・ファイが、今後48カ月で最大6億5000万ドル、円にして約1043億円規模のプライベートクレジットをオンチェーン化する計画を明らかにした。
狙うのは、米国でも最大級でありながら、いまだデジタル化が遅れている信用市場だ。製造設備、産業用システム、住宅向け太陽光発電設備などに資金を供給する、いわば「1兆ドル」、約160兆円規模の巨大産業である。
ただし、ここでいう6億5000万ドルは、すでに投下された資金ではない。トラッド・ファイによれば、これはオンチェーンで発行される予定の信用パイプラインであり、コミット済みのシニア向け信用枠と、主要借り手から署名済みの基本合意書に裏付けられているという。
同社は現在、約8500万ドル、約136億円分の署名済みタームシートを抱えており、さらに約4000万ドル、約64億円分が近く成約する見通しだとしている。
この構想が狙うのは、製造業の資金調達に横たわる“目詰まり”の解消である。従来の信用枠では、承認までに数週間から数カ月を要することも珍しくない。これに対し、同社はデジタル上の信用承認を1営業日まで短縮することを目指す。
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トラッド・ファイの最高経営責任者、アレクサンダー・ズル氏は、米国の設備金融について「急成長している一方で、いまだに紙の書類に依存している」と指摘する。その結果、信用承認は遅れ、企業にとっては機会損失につながっているという。
同氏はこう語った。
「中小企業は、資金調達を待っている間に商談を失っている。これを解決する唯一の方法は、資本、記録、業務フローをプログラム可能なレールの上に移すことだ」
投資家はトークン化された信用プールを通じて参加
今回の構想には、オンチェーンの投資プールも含まれる。投資家はこのプールを通じて、同プラットフォーム上で組成される設備金融ローンへのエクスポージャーを得ることになる。
このプールは、まだ名前が明かされていない第三者によって運営され、今後数週間以内に立ち上がる予定だ。ただし、初期段階では米国在住の投資家は対象外となる。
ローンのトークン化や、それに紐づく信用記録の管理インフラを提供するのはW3だ。対象となるブロックチェーンは、ベース、アーク、アバランチである。
一方で、ローンに関連する法的契約、たとえばUCC-1ファイリングや借り手に関する書類は、オンチェーンではなくオフチェーンに残される。
同様のトークン化信用商品を提供する企業には、セントリフュージ、トレーダブル、メイプル・ファイナンス、フィギュア・テクノロジーズ、クレディックスなどがある。
今回の取り組みは、拡大を続ける現実資産、いわゆるRWAのトークン化市場に新たな材料を加えるものとなる。
もっとも、この分野はここ数週間でやや冷え込んでいる。RWA.xyzのデータによれば、RWA市場全体の総価値は過去30日間で4.4%減少し、313億ドル、約5兆237億円となった。

Total RWA value by category. Source: RWA.xyz
内訳を見ると、トークン化された米国債が148億ドル、約2兆3754億円を占めている。一方、トークン化された社債・企業信用は12億ドル、約1926億円にとどまり、最も小さなセグメントとなっている。

