
インドで穀物担保融資をトークン化 アバランチ上で農産物RWAの実証実験
インドの農業倉庫・融資企業が、保管中の穀物に紐づく倉庫証券をアバランチの専用レイヤー1ブロックチェーン上でトークン化する実証実験を進めている。穀物の所有権や担保設定、融資状況を共有記録で結び、銀行が担保リスクを評価しやすくする狙いだ。

インドの農業倉庫・融資企業Arya.agが、保管された穀物の倉庫証券を、アバランチの専用レイヤー1ブロックチェーン上でトークン化する仕組みを検証している。
Arya.agは、フィンターネットと連携し、穀物の預け入れ、倉庫証券、担保設定、融資状況をネットワーク上で結びつける計画だ。
アバ・ラボのインド責任者であるデヴィカ・ミッタル氏はコインテレグラフに対し、すでに検証は進行中だと明らかにした。トークン化された各証券は、保管されている商品、つまり穀物の所有権を表すものになるという。
ただし、両社はサービス開始予定日や、初期導入でどれほどの穀物・融資額を対象にするのかについては明らかにしていない。
フィンターネット・ラボのディレクターであるサンメシュ・カリャンプール氏によれば、Arya.agのサンプラーが保管穀物の情報を収集し、同社のポータルに入力する。フィンターネットは、農家、商品、倉庫、保険に関する情報をまとめ、カリャンプール氏が「複合トークン」と呼ぶ形に統合する。
銀行はこのトークンを使い、担保リスクを評価できるようになる。要するに、「その穀物は本当に倉庫にあるのか」「誰のものなのか」「すでに担保に入っていないか」「借入残高はいくらなのか」を、ひとつの共有記録で確認できるようにする構想だ。
発表によれば、Arya.agは倉庫ネットワーク全体で約20億ドル、日本円で約3084億円相当の農産物を保管している。また、年間で約1200億インドルピー、約12億6000万ドル、日本円で約1943億円相当の融資を支援している。同社の融資部門であるArya Dhanは、年間約2億3000万ドル、日本円で約355億円の融資を実行している。
ただし、これらの数字はあくまでArya.agの既存事業の規模を示すものだ。すでにこれだけの資産や融資がオンチェーン化された、という意味ではない。
フィンターネット構想は2024年のBIS論文が出発点
フィンターネット構想は、インフォシス共同創業者のナンダン・ニレカニ氏と、当時の国際決済銀行(BIS)総支配人アグスティン・カルステンス氏が共同執筆した2024年のBIS論文で示されたものだ。
同論文は、トークン化資産のための相互接続された統一台帳を提案した。一方で、その実現には法制度や規制の枠組みが欠かせないとも強調している。
コインテレグラフは1月、アバランチ上のトークン化された現実資産(RWA)の価値が、融資やトークン化マネーマーケットファンドを背景に、2025年末時点で13億ドルを超えたと報じている。日本円では約2005億円規模となる。
インドで広がる「倉庫証券担保」の農業融資
電子倉庫証券は、農家や農業関連事業者にとって重要な意味を持つ。収穫直後に安値で農産物を売らなくても、倉庫に保管した商品を担保に資金を借りられるからだ。
Arya.agとアバ・ラボによれば、今回の仕組みは、貸し手に対して共通の記録を提供するためのものだ。そこには、どの穀物が保管されているのか、所有者は誰か、すでに担保に設定されているのか、未返済債務はいくらかといった情報が含まれる。
もっとも、デジタル記録がどれほど整備されても、最後に問われるのは現物の確認だ。発表によれば、このシステムは、デジタル記録が表す物理的な商品を正確に検証できるかどうかに依存する。
インド政府は2024年、小規模農家や零細農家を中心に、電子譲渡可能倉庫証券を担保とする融資を促進するため、100億インドルピー、日本円で約161億円規模の信用保証プログラムを開始している。

