
「デジタルユーロ」ECBが"誰でも使える神アプリ"と豪語! だが決済業界は総スカン、忍び寄る"監視社会"の影
欧州中央銀行(ECB)が鳴り物入りで開発を進める「デジタルユーロ」。目や耳の不自由な人でも使えるバリアフリー設計を大々的にアピールしてみせたが、その裏では決済業界がソッポを向き、プライバシー擁護派からは"国家による監視"への懸念が噴き出していた——。

欧州中央銀行(ECB)は木曜日(現地時間)、開発中の「デジタルユーロ」アプリが、EUの「欧州アクセシビリティ法」が求める基準を"上回る"使いやすさを実現すると高らかに宣言した。
同日発表のリリースによれば、その中身は盛りだくさんだ。見やすさを追求したビジュアルデザイン、マウスを使わずキーボードだけで操作できる完全対応、画面の文字を読み上げる「スクリーンリーダー」への対応、操作が途中で切れる前に知らせるタイムアウト警告、誰にでも分かる平易な言葉づかい、入力ミスを未然に防ぐ仕組み、さらには画面の過剰な動きを抑える設定まで——。ECBは"至れり尽くせり"の機能をズラリと並べてみせた。
このスタンドアロン(単独)型アプリが初めて姿を現したのは、2025年10月の進捗報告書でのことだった。銀行のアプリが万一ダウンしたときの"駆け込み寺"となり、利用者が新しいアプリの使い方をイチから覚えずとも決済サービス業者を乗り換えられる——そんな触れ込みである。
ところが、だ。同じ報告書には見過ごせない一文があった。銀行系・非銀行系を問わず、決済サービス業者たちがこのアプリへの対応義務化にこぞって反対していた、というのだ。
そもそもデジタルユーロとは、EU(欧州連合)が導入を検討している「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」である。現金を補完し、ユーロ圏全域で誰もが使える"公的なデジタル決済手段"を提供する狙いがあるという。
ECBは7月14日、36の決済サービス業者を選定。2027年後半に始まる12カ月間の実証実験(パイロット)に参加させると発表した。発行するか否かの最終判断は、このテストの後だとしている。
だが、デジタルユーロには根強い批判がつきまとう。一部のプライバシー擁護派や議員たちは、「CBDCは政府による決済の監視を強めかねない」と警鐘を鳴らしているのだ。これに対しECB側は、プライバシー保護の仕組みを組み込むと釈明する。その言葉、果たしてどこまで信じてよいものか——。

