
AI向けGPUを担保に約160億円融資 ブリッシュ、USD.AIにステーブルコイン信用枠
暗号資産取引所ブリッシュが、AIインフラ向け融資を手がけるUSD.AIに1億ドル(約160億円)のステーブルコイン建て融資枠を提供した。借り手の会社そのものではなく、NVIDIA製GPUを担保に資金を貸し出す。AIブームを支える「GPU」と暗号資産マネーの結びつきが、さらに強まりつつある。

機関投資家向け暗号資産取引所を運営するブリッシュ(Bullish)は、USD.AIに対し、1億ドル(約160億円)規模のステーブルコイン建て融資枠を提供した。AIインフラ事業者向けのGPU担保融資に使われる。両社が金曜日に発表した。
今回の仕組みで特徴的なのは、「会社」ではなく「GPU」が担保になる点だ。
USD.AIは、この融資枠を使ってAIインフラ事業者に資金を貸し出す。融資の担保となるのは借り手企業の幅広い会社資産ではなく、実際に導入されるGPUハードウェアそのものだ。
USD.AIはパーミアン・ラボ(Permian Labs)が開発したオンチェーン金融プラットフォームで、AIコンピューティング機器を担保とした資金調達を提供している。
ステーブルコイン市場に眠る流動性と、GPUインフラを整備したいAI事業者の資金需要を直接結びつける格好だ。
ブリッシュはさらに、USD.AIが発行する「sUSDai」を複数の取引ペアで上場させる方針だ。専用のマーケットメイク・プログラムも用意する。
これにより、GPU担保債権の流通市場での流動性を高め、より透明な価格形成につなげたい考えだ。
USD.AIのGPU金融事業は、すでにかなりの規模に膨らんでいる。
同社は6月、NVIDIA(エヌビディア)のB300 GPUを2304基担保とする9810万ドル(約157億円)の融資を発表した。
さらに、NVIDIA B200 GPUを768基担保とする3400万ドル(約54億円)の融資も、すでに全額の資金調達を完了している。
ブリッシュとUSD.AIの関係は今回が初めてではない。
ブリッシュ・キャピタル(Bullish Capital)は2025年9月、USD.AIに400万ドル(約6億4000万円)を出資している。ブリッシュにとって、IPO後初の投資案件だった。
ブリッシュ株、過去1カ月で48%上昇
ブリッシュは2025年8月、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。
新規株式公開(IPO)の価格は1株37ドル(約5900円)。IPOによる調達額は約10億3000万ドル(約1646億円)に達した。
そして上場初日、株価は一気に90ドル(約1万4400円)で取引を開始した。
もっとも、その熱狂は長くは続かなかった。
ヤフー・ファイナンスのデータによれば、ブリッシュ株は現在も上場初日の水準から60%以上安い。
ただ、ここにきて潮目が変わっている。
ブリッシュ株は過去1カ月で約45%上昇し、金曜日には33ドル(約5300円)前後で取引された。
背景にあるのは、暗号資産市場そのものの回復だ。
ビットコインなどの相場が持ち直すなか、暗号資産関連株にも資金が戻っている。
過去1カ月では、ビットコインを財務資産として保有するストライブ(Strive)が約88%上昇。ビットコインマイニング企業のカナン(Canaan)は約55%高、ステーブルコイン「USDC」を発行するサークル(Circle)も約40%上昇した。
AIブームで需要が爆発しているGPU。その高価なハードウェアそのものを担保にし、ステーブルコインで資金を供給する――。
ブリッシュとUSD.AIの今回の1億ドル規模の融資枠は、「AIインフラ」と「オンチェーン金融」という二つの巨大テーマが、本格的に交わり始めたことを示す案件となりそうだ。

Strive stock price over the past month. Source: Yahoo Finance

