
米金融大手BNYがUSDCに本格参入 ステーブルコインはついに銀行ビジネスの中核へ
今回の動きにより、BNYとサークルの提携関係は一段と深まる。BNYがUSDC準備資産の主要カストディアンを担ってきた役割を土台に、同行はステーブルコインの顧客向けサービスへと踏み込む格好だ。

米金融大手BNYが、デジタル資産カストディ・プラットフォームの機能を拡張した。機関投資家の顧客は今後、サークルの米ドル連動型ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」を保管・送金できるだけでなく、発行と償還まで行えるようになる。BNYの同プラットフォームで対応する初のステーブルコインとなる。
新機能により、BNYの顧客は銀行を通じて米ドルをUSDCに交換し、逆にUSDCを米ドルへ戻すこともできる。もちろん、USDCの保管や移転も同じカストディ基盤上で完結する。BNYは今後、ほかのステーブルコインやデジタルキャッシュ関連のワークフローにも対応を広げる方針だ。
今回の拡張は、BNYがすでに担っているUSDC準備資産の主要カストディアンとしての役割を土台にしたものだ。これまでの関係が「準備資産を預かる」ものだったとすれば、今後は顧客に直接ステーブルコイン・サービスを提供する段階へと踏み込むことになる。
BNYによれば、同行はカストディおよび管理資産として59兆3000億ドル、円換算で約9606兆6000億円を扱っている。また、フォーチュン100企業の90%超にサービスを提供しているという。USDCは時価総額で世界第2位のステーブルコインであり、デフィラマのデータによれば、流通量は738億ドル、約11兆9556億円を超える。
BNYは5月にも、アブダビ拠点のフィンストリートおよびADIファウンデーションと提携し、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の機関投資家向けカストディ・サービス開発に乗り出していた。将来的には、ステーブルコインやトークン化された現実資産(RWA)にも対応する計画だ。

Source: DefiLlama
伝統金融、ステーブルコイン基盤へ雪崩を打つ
BNYの発表は、ここ数カ月で相次ぐ大手金融機関のステーブルコイン関連サービス投入の一例にすぎない。伝統的な銀行や資産運用会社は、準備資産管理、カストディ、ブロックチェーン決済を支えるサービスをじわじわと拡大している。
5月には、JPモルガンがトークン化マネー・マーケット・ファンドの立ち上げを申請した。このファンドは、ステーブルコイン発行企業が準備資産を規制下の投資ビークルで保有しながら、利息を得られるようにする狙いがある。イーサリアム上で展開されるこのファンドは、決済用ステーブルコインの裏付けとなる米国財務省短期証券や翌日物レポ取引に投資する設計だ。
今月初めには、ステート・ストリートもステーブルコイン発行企業向けの政府系マネー・マーケット・ファンドを立ち上げた。これはGENIUS法に準拠しながら準備資産を保有するための受け皿となるもので、米国政府証券やレポ取引に投資する。初期投資家にはステート・ストリート銀行とアンカレッジ・デジタルが名を連ねる。
ほかの大手金融機関も、ステーブルコイン戦略を進めている。2025年7月にはバンク・オブ・アメリカが、決済インフラの近代化に向けてステーブルコインを検討していると明らかにした。さらに1月には、フィデリティ・インベストメンツが米ドル裏付け型ステーブルコイン「FIDD」を立ち上げた。同行はその前に、ナショナル・トラスト・バンクとして営業するための条件付き承認を得ていた。
デフィラマによれば、ステーブルコイン市場全体の規模は約3130億ドル、円換算で約50兆7060億円に達している。そのうち、テザーのUSDTが約6割を占める。つまり、ステーブルコインはもはや暗号資産業界だけの“内輪の決済手段”ではない。ウォール街の巨人たちが、自らの帳簿と顧客基盤に組み込む段階へ入ったのである。

Source: DefiLlama

