
スペースX上場前取引に暗号資産大手が殺到 ブロックチェーン・ドットコムも24時間永久先物で参戦
同取引所は、スペースXの待望の上場をにらんだ商品を相次いで投入しているバイナンス、クラーケン、バイビット、コインベースの列に加わった格好だ。

暗号資産ウォレット・取引サービス大手のブロックチェーン・ドットコムが、機関投資家向けのOTCデスクを通じ、24時間365日取引できる永久先物サービスを開始した。対象となるのは、株式、株価指数、コモディティ、外国為替、さらには未上場企業の株式に連動する商品まで含まれる。
目玉の一つが、イーロン・マスク氏率いる宇宙企業スペースXに連動する永久先物だ。スペースXの将来的な上場をにらみ、条件を満たした投資家が同社の評価額に連動したポジションを取れるようにする。ブロックチェーン・ドットコムによれば、この契約はすでにOTCデスクで取引可能になっている。
同社は今回のサービスについて、従来の市場取引時間に縛られず、継続的に市場へアクセスしたい機関投資家向けだと説明している。週末など、伝統的な市場が閉まっている時間帯でも、顧客は複数の資産クラスにまたがってヘッジやポジション調整を行えるという。
想定される利用者として、同社はオプションデスク、マクロ系ファンド、上場前企業へのエクスポージャーを求める投資家などを挙げている。まさに、暗号資産業界が得意としてきた「眠らない市場」の仕組みを、株式や未上場株の領域へ持ち込む動きである。
Blockchain.com's announcement tweet Tuesday to its 1.3 million followers.
Source: Blockchain.com on X.com
ブロックチェーン・ドットコムは今年4月、セルフカストディ型ウォレットを通じて永久先物取引を開始していた。その際、同社は暗号資産市場にとどまらず、株式、コモディティ、外国為替へと対象を広げる方針を示していた。
さらに5月には、同社自身も米証券取引委員会、SECに対し、IPOに向けた書類を非公開で提出している。
上場前取引は暗号資産取引所の新たな戦場に
スペースXをめぐる上場前取引は、暗号資産業界の新たな争奪戦になりつつある。
ブルームバーグは4月、スペースXがIPOを非公開で申請し、評価額は1兆7500億ドル超、日本円で約280兆円に達する可能性があると報じた。実現すれば、米国史上でも最大級の上場案件となる見通しだ。
スペースXの上場予定日とされる6月12日を前に、暗号資産取引所各社は相次いで「上場前」の投資商品を打ち出している。
バイナンスは先月、未上場企業に連動する上場前永久先物を導入した。第一弾はスペースX連動の契約で、決済にはUSDTを使う。投資家は実際の株式を保有することなく、IPO前後の企業評価額に賭けることができる。
クラーケンも先週、同社の「xStocks IPO Access」プラットフォームで、最初の対象企業としてスペースXを提供すると発表した。対象となるユーザーは110以上の市場で、裏付けとなる株式と1対1で連動するトークン化株式を通じて参加できる。発行後のトークンは、クラーケンやxStocks対応プラットフォーム上で24時間取引できる。
バイビットも数日後、xStocksを通じて同様のアクセスを提供する方針を示した。これは同取引所の新たなトークン化株式プログラムにおける初のIPO案件となる。

Source: SpaceX
コインベースもまた、海外ユーザー向けにスペースXの推定未公開市場評価額に連動する上場前永久先物市場を開始している。同商品はUSDC建てで、スペースXが実際に上場した場合には、上場後の永久先物契約へ移行する設計だ。コインベースによるスペースX上場前永久先物の開始は、ウォール・ストリート・ジャーナルなども報じている。
投資家の需要は過熱している。ロイターによれば、スペースXのIPOには募集額の3.5〜4倍の需要が集まっており、調達予定額750億ドル、日本円で約12兆円に対し、需要額は2500億ドル超、日本円で約40兆円に達しているという。
かつて暗号資産取引所の主戦場は、ビットコインやイーサリアムなどのトークンだった。だがいまや、その射程は未上場株、上場前IPO、そして世界で最も注目される民間企業スペースXにまで広がっている。
「株式市場が閉まる時間」そのものを過去のものにしようとする、暗号資産業界らしい挑戦が始まっている。

