
TRMラボ、評価額が約3080億円に倍増 暗号資産犯罪対策AIへの需要拡大で
ブロックチェーン分析企業TRMラボの評価額が20億ドルに到達した。AIを使った不正調査ツールの需要が高まるなか、政府機関や民間企業による導入が広がっている。

ブロックチェーン分析企業TRMラボの評価額が、20億ドル(約3080億円)に倍増した。ブロックチェーン・キャピタルが主導するシリーズCラウンドの拡張を受けたものだ。
同社は今回の追加投資額を明らかにしていない。ただ、水曜日の発表によれば、年間経常収益は過去3年間で4倍に拡大したという。
今回の資金調達は、2月に実施した7000万ドル(約108億円)のシリーズCラウンドに続くものだ。この時も主導したのはブロックチェーン・キャピタルだった。
TRMラボは、ブロックチェーン上の資金移動を分析し、捜査やコンプライアンスに使うソフトウェアを提供している。同社によれば、現在は75カ国以上で、600を超える政府機関や民間企業が利用している。
2月のラウンド以前、TRMラボの評価額は9億3000万ドル(約1432億円)だった。Traxcnがまとめたデータによる。その後、シティ・ベンチャーズやギャラクシーなどが参加したラウンドで、ユニコーン企業の目安とされる10億ドルの評価額を突破した。
TRMラボは、自社のAI搭載ツールについて、詐欺、マネーロンダリング、制裁逃れ、そのほかのデジタル犯罪の捜査に使われているとしている。
背景にあるのは、デジタル犯罪の急増だ。FBIのインターネット犯罪苦情センターに報告された被害額は、2024年の160億ドル(約2兆4640億円)から、2025年には210億ドル(約3兆2340億円)に増えた。
さらにTRMラボは、自社の「AI-in-Crime Adoption Index」を引用し、2026年には犯罪者によるAI利用が前年比40%増加したとしている。暗号資産犯罪の現場でも、AIはもはや捜査側だけの道具ではない。攻める側もまた、AIを使い始めているというわけだ。
今回の評価額上昇は、米移民・関税執行局(ICE)がTRMラボに約9500万ドル(約146億円)の1年契約を発注してから、およそ2カ月後のことでもある。契約内容は、国土安全保障タスクフォースの捜査に使うフォレンジックソフトウェアと支援サービスだ。
だが、この契約をめぐっては火種も残る。競合のチェイナリシスは同月下旬、ICEによる随意契約を連邦裁判所で争った。チェイナリシス側は、ICEの判断が「恣意的で、気まぐれで、不合理」だったと主張している。
暗号資産市場の裏側で、犯罪対策ソフトウェアへの投資は静かに膨らんでいる。TRMラボの20億ドル評価は、その象徴的な数字といえそうだ。

