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Nate KostarライターSam Bourgi監修ライター

ビットコイン送金額、計測方法で「最大6倍」の差 BISがオンチェーンデータに警鐘

最新ニュース公開日2026年9月16日

国際決済銀行(BIS)の研究で、ビットコインのオンチェーン送金額は、取引の数え方によって最大6倍も差が出ることが分かった。

「ビットコインで、いったいどれだけの資金が動いたのか」

ブロックチェーン上には、その答えがすべて記録されているように見える。

ところが、話はそう簡単ではなかった。

国際決済銀行(BIS)の研究チームは9月15日、ビットコイン、イーサリアム、トロンのブロックチェーン上に記録された約1000億件のデータを分析したワーキングペーパーを公表した。

研究で明らかになったのは、ビットコインのオンチェーン送金額が、計測方法によって最大6倍も変わり得るという事実だ。

対象となっているのは暗号資産取引所での取引高ではない。ブロックチェーン上で実際に記録されたビットコインの移動額だ。

「お釣り」が別の送金として数えられる

なぜ、ここまで差が出るのか。

原因の一つは、ビットコインの取引の仕組みにある。

ビットコインを送る際、保有している残高をすべて使い切るとは限らない。余った分は「お釣り」のような形で、送り手自身の別アドレスに戻されることがある。

ブロックチェーン上では、この返金分も別のアウトプットとして記録される。

しかし、それは別の相手に資金を送ったことを意味しない。

ところが単純にアウトプットの金額を足し上げれば、実際の経済活動よりも大きな「送金額」が算出される可能性がある。

BISの研究チームは、取引量や時価総額、預かり資産(TVL)などの指標についても、その数字が「実際のデータの性質からは裏付けられないほどの正確さ」を示しているように見えることがあると指摘した。

Breakdown of blockchain records analyzed in the BIS study. Source: BIS

ビットコインの「時価総額」にも落とし穴

問題は送金額だけではない。

ビットコインの時価総額についても、一般的な計算方法と実際の経済的な価値を反映する指標との間に大きな差が出ることがある。

BISによると、従来の時価総額は、コインが最後に移動した際の価格で評価する「実現時価総額(Realized Capitalization)」の最大4倍になる場合があるという。

一般的な時価総額は、流通しているBTCすべてを現在の市場価格で評価する。

一方、実現時価総額は、それぞれのコインについて最後に移動した際の価格を使って評価する。

同じビットコインでも、どの価格を基準にするかで数字は大きく変わるわけだ。

BISは、こうした問題はビットコインだけに限られないとしている。

イーサリアムでは「スマートコントラクト」が壁に

イーサリアムでは、別の難題が待っていた。

スマートコントラクトが大量に存在するため、どの取引が経済活動を示しているのかを分類することが難しいのだ。

研究では約6750万件のアクティブなコントラクトを調べたところ、約5400万件について、研究で使った分類ではカテゴリー分けできなかった。

プログラムによって複雑な処理が行われるイーサリアムでは、「1回の取引」が単純な資金移動を意味するとは限らない。

このため、ブロックチェーン上の記録を単純に集計するだけでは、実際の経済活動を正確に捉えられない可能性がある。

同じUSDTでもイーサリアムとトロンで用途が違う

ステーブルコインにも、同じような問題がある。

BISはUSDTを例に挙げ、同じ資産でもブロックチェーンによって使われ方が異なることを指摘した。

イーサリアム上のUSDTはDeFiとの結び付きが強い一方、トロン上のUSDTは決済や価値保存に近い用途で使われる傾向があった。

特に大きな差が出たのが、スマートコントラクトが保有するUSDTの割合だ。

イーサリアムでは2022年に20%を超えたのに対し、トロンでは約1%にとどまった。

つまり、「USDT」という同じステーブルコインでも、どのチェーン上にあるかによって、経済的な意味が違ってくる。

BISは、異なるブロックチェーン上のUSDT取引を単純に合算すると、異なる種類の経済活動を一つにまとめてしまい、ステーブルコインが実際にどのように使われているのかを見えにくくする可能性があると指摘した。

そして研究チームが出した結論は明快だ。

オンチェーン指標は、経済活動を直接測る数字ではなく、「ノイズの多い近似値」として扱うべきだという。

ビザはステーブルコイン取引を「調整」して集計

こうした問題に対して、すでに対応を始めている企業もある。

ビザは、アリウム・ラボのデータを利用した「Visa Onchain Analytics」のダッシュボードで、ステーブルコインの取引量について「総取引量」と「調整済み取引量」の両方を表示している。

ビザによれば、調整後のデータでは、高頻度取引、ボット、ブリッジによるルーティング、取引所内部の運用などによる数字のゆがみを取り除くことを目指している。

現在のダッシュボードでは、対象となるネットワークの過去30日間のステーブルコイン取引量は、総額で6兆4000億ドル(約99兆円)と表示されている。

ところが、ビザが調整した取引量は3131億ドル(約4兆8600億円)だ。

その差は、実に20倍を超える。

Stablecoin transaction volumes. Source: Visa Onchain Analytics

ブロックチェーンは「すべてが記録される」からこそ、透明性が高い。

しかし、記録されている数字が、そのまま経済活動の大きさを意味するとは限らない。

BISの研究は、暗号資産市場を分析する際、オンチェーン上の数字をそのまま鵜呑みにするのではなく、「何を、どう数えた数字なのか」を確認する必要があることを改めて示している。

Cointelegraphは、独立性と透明性のあるジャーナリズムに取り組んでいます。本ニュース記事はCointelegraphの編集方針に従って制作されており、正確かつ迅速な情報提供を目的としています。読者は情報を独自に確認することが推奨されます。編集方針はこちらをご覧ください https://cointelegraph.jp/editorial-policy

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