ウィンターミュート、Kalshi・Polymarket急拡大の裏で「胴元の血流」を握るのか
暗号資産業界の大手マーケットメイカー、Wintermuteが、いま世界で急拡大する「予測市場」に本格参入する。
同社は5月29日、機関投資家向けの取引インフラを予測市場にも広げ、主要プラットフォーム上のイベント契約に対して、買値と売値の双方を継続的に提示すると明らかにした。対象となる取引所名は明言していないが、市場関係者の視線は当然、KalshiとPolymarketに向かう。Wintermuteは暗号資産の現物、デリバティブ、DeFi、店頭取引まで手がける巨大プレーヤーだ。年間取引高は3兆5000億ドル、1ドル=約159.5円換算で約558兆円にのぼる。
予測市場とは、選挙、スポーツ、経済指標、裁判、企業イベントなど「現実に起きる出来事」の結果を売買する市場である。かつては物好きの賭け場、あるいはニッチな未来予測ツールと見られてきた。だが、いまやその様相は変わりつつある。

Source: Wintermute
Wintermuteの店頭取引責任者ジェイク・オストロフスキス氏は、予測市場について「需要は大きな資産クラス並みだが、流動性はまだ初期段階の市場に近い」と指摘する。要するに、参加者は増えているが、売買を円滑に成立させる“市場の厚み”が足りないということだ。
ここにWintermuteが入る意味は大きい。同社が買い気配と売り気配を常時出せば、スプレッドは狭まり、大口注文も通りやすくなる。市場価格に織り込まれる「確率」も、より信頼できるものになる。表向きは市場整備だが、見方を変えれば、予測市場という新興分野に暗号資産トレーディングのプロが乗り込んできた格好である。
すでに予測市場の規模は無視できない。DeFiRateによれば、KalshiとPolymarketの想定週間取引高は約58億ドル、約9250億円。稼働中の市場は約40万件、週間取引件数は4270万件に達する。米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下にあるKalshiは、取引高の約7割を握るとされる。両プラットフォームで特に人気を集めるのは、政治とスポーツ関連のイベントだ。
もっとも、これは単なる「賭け市場」の話では終わらない。Wintermuteは、予測市場がDeFiと接続する可能性にも目を向けている。たとえば、ロックされた資金を担保として再利用する仕組み、予測市場価格をもとにしたオラクル、あるいは利回り戦略への組み込みである。
つまり、選挙結果やスポーツの勝敗、経済ニュースの行方をめぐる価格が、暗号資産金融の一部として組み込まれていく可能性がある。
かつて暗号資産業界は、ビットコインやイーサリアムの値動きだけを追う世界だった。だが今や、政治、スポーツ、社会事件、金融政策までもが「取引対象」になりつつある。
Wintermuteの参入は、その流れを一段と加速させる。予測市場は“未来を当てる遊び”から、“未来そのものを金融商品化する市場”へ変わろうとしている。

Comparison of stats between Kalshi (green) and Polymarket (purple). Source: DeFiRate

