
イーサリアム大改革へ ブテリン氏が掲げた「量子耐性・プライバシー・高速化」とは
イーサリアム財団が掲げる「よりプライベートで、よりスケーラブルなイーサリアム」への道筋。その中核の一つが、新たな仮想マシンの導入だ。候補として有力視されているのが、リーンISAとリスクファイブ(RISC-V)である。

イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が、新たな「リーン・イーサリアム」ストローマップのもとで、イーサリアムが優先すべき三つの柱を明らかにした。すなわち、耐量子性、スケーラビリティ、そしてプライバシーである。このストローマップは、今後10年の残り期間における同ネットワークの技術的方向性を示すものだ。
ブテリン氏は土曜日、Xへの投稿で、この一連のアップグレードは今後3〜4年かけて展開されると説明した。対象はイーサリアムのほぼ全レイヤーに及ぶ。氏はその規模を、2022年9月の「マージ」に匹敵するものだと位置づけた。マージは、イーサリアムを電力消費の大きいマイニング方式から脱却させた歴史的転換点である。
「量子安全性の優先順位は大幅に上がった」
ブテリン氏はそう述べたうえで、ブロブに関する量子安全な解決策を最終化することが「急務になった」と強調した。さらに、プライバシー強化についても「第一級の目標になった」として、単なる副次的課題ではなく、今後の設計思想の中心に据える姿勢を示した。

今回のロードマップ変更は、イーサリアム財団をめぐる一連の組織改革のただ中で打ち出されたものだ。同財団は先月、よりスリムな体制への移行と予算40%削減を目指し、職員のおよそ20%を削減している。
こうした「リーン化」は、人員削減だけにとどまらない。ここ数カ月では幹部の退任も相次いだ。シャオウェイ・ワン氏とトマシュ・スタンチャク氏が退き、さらにプロトコル貢献者のティム・ベイコ氏とバルナベ・モノ氏も5月に離脱している。
ブテリン氏はまた、プログラム可能なプライバシーとさらなるスケーラビリティを支えるため、リーンISAやリスクファイブのような新たな仮想マシンの開発も推し進めている。
ブテリン氏のタイムラインには疑問の声も
もっとも、提示された時間軸には疑問も残る。
決済特化型レイヤー1ブロックチェーン「テンポ」の研究者であるダンクラッド・ファイスト氏は、新計画を評価しつつも、3〜4年というスケジュールは遅すぎると指摘した。同氏は、AIを活用すれば開発者はこれらのアップグレードを1年以内に出荷できるはずだと主張している。
暗号資産アナリストのイグナス・フィオドロヴァス氏も、この計画そのものには賛意を示した。一方で、イーサリアム財団が示した期限内にアップグレードを実現できるかについては懐疑的だ。同財団には、過去にも期限を守れなかった経緯があるためである。
フィオドロヴァス氏は、今回のロードマップに欠けている唯一の重要要素として、イーサ(ETH)のトークノミクス改善を挙げた。ETH価格は、暗号資産市場全体の下落局面のなかで、なお軟調な推移を続けている。

