
イーサリアム財団で止まらぬ幹部流出 揺らぐガバナンスと分散化の理想
シャオウェイ・ワン氏の退任で、イーサリアム財団の人材流出はさらに加速した。ガバナンス、分散化、そしてネットワークの将来をめぐる議論に、また火がついている。

イーサリアム財団から、また一人、上級幹部が去った。
研究組織としての同財団にはいま、厳しい視線が注がれている。ネットワークの人材維持、そしてガバナンス哲学をめぐる疑問がくすぶり続けるなかでの、さらなる離脱である。
共同エグゼクティブディレクターを務めていたシャオウェイ・ワン氏は、Xへの投稿で、最近のサバティカル休暇を経て、同職を即時退任したと明らかにした。ワン氏は「イーサリアムは常に、どんな役割よりも大きな存在だった」と記し、今後の身の振り方については、まだ決めていないことを示唆した。
イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏も、ワン氏の投稿に反応した。ブテリン氏は、ワン氏がトマシュ・スタンチャク氏とともに「イーサリアム財団で最も困難なポジション」を引き受けていたと認めた。スタンチャク氏も今年初め、指導的立場から退いている。
イーサリアム財団では今年、推計で19件のレイオフや人材流出が記録されている。なかでも注目を集めているのは、上級幹部や中核貢献者の離脱だ。

Source: Vitalik Buterin
この退任の波は、財団が複数の難題に直面するなかで起きている。競争は激しさを増し、イーサリアムのガバナンスや長期的な開発戦略をめぐる議論は続いている。さらに、イーサの市場パフォーマンスにも圧力がかかり続けている。
一方で、ブテリン氏は批判に反論してきた。とりわけ、財団はネットワークの宣伝や普及促進にもっと積極的になるべきだという主張に対してである。
ブテリン氏は5月、イーサリアム財団について「イーサリアムの中心ではない」と述べた。むしろ財団は、「明確な目的を持った一つのノードであり、他のノードと並ぶ存在」だという立場を示した。
分散化こそ、イーサリアム財団の中核任務
3月、イーサリアム財団は、イーサリアム・エコシステムの管理者としての役割を再確認した。あわせて、分散化をさらに重視する改訂版の使命を公表している。
財団はこう説明した。
「われわれの究極の目標は、イーサリアムがウォークアウェイ・テストに合格することだ。つまり、プロトコルと中核アプリケーション層が十分に堅牢で、トラストレスなものとなり、仮に財団や現在の中核開発者が明日消えたとしても、信頼性をもって機能し、進化し続けられる状態である」

Source: Ethereum Foundation
この哲学は、イーサリアムのレイヤー2ネットワークに対するブテリン氏の姿勢にも影響している。レイヤー2とは、スケーラビリティを高め、取引コストを下げるために、イーサリアムの上に構築される独立したブロックチェーンのことだ。
ブテリン氏は最近、レイヤー2に関する当初の構想について「もはや意味をなさない」と述べた。多くのレイヤー2は、十分な分散化を実現できていないというのが理由だ。
さらに、イーサリアムのメインネットそのものが改善していることで、長期的なスケーリング手段としては、メインネットのほうがより適しているとの見方も示している。
財団は「中心」ではない。だが、中心ではないはずの組織から幹部が相次いで去るという現実は、イーサリアムという巨大ネットワークが抱える矛盾を、改めて浮き彫りにしている。

