
Visa、ステーブルコイン決済を本格拡大 オンチェーン融資で企業の資金繰りを支援へ
決済大手ビザは、VisaNetの決済データとブロックチェーン上の融資インフラを接続する。ステーブルコイン連動カード事業者が運転資金を調達しやすくなる仕組みで、オンチェーン融資の用途が暗号資産市場から日常的な決済インフラへ広がる可能性がある。

決済大手のビザが、同社の決済ネットワークとオンチェーン融資をつなげる。ステーブルコイン連動型カードプログラムに対し、運転資金を確保する新たな道筋を示すものだ。これまで暗号資産市場の中で語られることが多かったオンチェーン融資が、決済の精算という実務の領域に踏み込もうとしている。
ビザは火曜日、VisaNetの決済データとブロックチェーンベースの融資インフラを組み合わせると発表した。これにより、融資を行う事業者は、ビザのネットワーク上のデータを使って、企業の決済債務に対する資金提供を行えるようになる。
この取り組みでは、貸し手がVisaNetの決済記録とオンチェーン取引データをあわせて参照し、借り手の状況を評価する。そして、その決済債務に対して融資を実行する仕組みだ。
ビザは、このモデルの初期事例として、ブロックチェーンベースのプロトコルで企業向けに与信枠を提供するクレジット・コープ(Credit Coop)を挙げた。クレジット・コープは2023年以降、参加するファシリティを通じて、累計25億ドル、日本円で約3850億円超の決済取扱高に資金を供給してきた。これには3000件超の借入イベントと、9000件の返済が含まれる。
ビザの成長プロダクト・パートナーシップ部門グローバル責任者であるルバイル・ビルワドカー氏は、ステーブルコインについて「お金の動き方を変えている」と指摘したうえで、決済を支える金融インフラを再設計する機会を生み出していると述べた。
今回の取り組みは、ビザのステーブルコイン関連決済事業が拡大する中で打ち出されたものだ。現在、同社のネットワーク上では160を超えるステーブルコイン連動カードプログラムが稼働しており、決済額は前年同期比で約200%増加しているという。
さらにビザによれば、ステーブルコイン決済の精算額は年換算で200億ドル、日本円で約3.1兆円を突破した。これは1年前の水準の15倍超にあたる。
ビザ、ステーブルコイン戦略をさらに深掘り
ビザは近年、ステーブルコインを決済戦略の柱の一つとして位置づけている。同社経営陣は7月の2026会計年度第3四半期決算説明会で、ブロックチェーン、ウォレット、インフラ、アプリケーションを含む「ステーブルコイン・スタックの各層」に投資していると説明していた。
その一環として、ビザはOpenStandardコンソーシアムにも参加している。同コンソーシアムはOpenUSDステーブルコインの発行を計画しており、ストライプを含む140社超が参加している。
ビザの拡大は、ステーブルコイン市場全体の利用拡大とも重なる。調整後のステーブルコイン取引額は6月に過去最高となる1兆7900億ドル、日本円で約276兆円に達した。一方、ビザの分析ダッシュボードによれば、過去30日間の取引額は約1兆2000億ドル、日本円で約185兆円となっている。


