
米英が暗号資産詐欺センターを潰しに動く 被害額は1兆3500億円規模に急増
米国と英国の法執行機関が、暗号資産を使った投資詐欺やサイバー詐欺の拠点摘発に向け、初の共同枠組みを立ち上げた。FBIへの被害報告額は2025年に86億5000万ドル(約1兆3500億円)に達している。

米国と英国が、暗号資産を使った投資詐欺やサイバー犯罪型の詐欺センターを標的にした、共同の法執行同盟を立ち上げた。
米司法省は木曜日、コロンビア特別区連邦検事局、イングランド・ウェールズ王立検察庁、英国国家犯罪対策庁(NCA)が、覚書に署名したと発表した。司法省はこれを、こうした詐欺センターの機能停止を目的とした「初めての」国際協力協定だと位置付けている。
この合意に基づき、各機関は共通の標的に対して並行捜査を進める。組織犯罪シンジケートに関する情報を共有し、どの国・地域で起訴するのが適切かも協議するという。
司法省によれば、当局はすでに重複する複数の事件を特定している。さらに10月上旬には、ロンドンで民間セクターのパートナーとともに、対面形式での摘発・妨害作戦を実施する予定だ。
国境をまたぐ今回の枠組みは、米国で暗号資産投資詐欺の被害額が膨らみ続けるなかで生まれた。司法省によると、FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)に報告された被害額は、2023年の45億7000万ドル(約7130億円)から、2025年には86億5000万ドル(約1兆3490億円)へと89%増加した。
この合意は、2025年11月にコロンビア特別区連邦検事のジャニーン・フェリス・ピロ氏が立ち上げた「詐欺センター・ストライクフォース」の取り組みを拡大するものだ。同部隊は主に東南アジアで詐欺センターを運営する中国系組織犯罪ネットワークを標的としている。
司法省によれば、これらの詐欺スキームには暗号資産投資詐欺が含まれ、人身売買やマネーロンダリングとも結びついていることが多い。
このタスクフォースには、FBI、米シークレットサービス、内国歳入庁犯罪捜査部、国土安全保障捜査局、司法省内の各部局が参加している。さらに米財務省、国務省、民間企業とも連携し、詐欺拠点の妨害や被害者資金の回収に取り組む。
国際当局は、同種の詐欺拠点に対する一斉摘発でも連携してきた。司法省は4月29日、ドバイ警察主導の作戦にFBIと中国公安部が参加し、276人を逮捕し、少なくとも9カ所の暗号資産詐欺センターを閉鎖したと発表している。
この事件では、偽の暗号資産投資プラットフォームを使って被害者から入金を募った疑いで、6人が訴追された。
東南アジア各国の政府も、国内での締め付けを強めている。5月15日には、ミャンマー軍事政権がデジタル通貨詐欺に対し、10年の禁錮刑から終身刑までを科す法案を公表した。詐欺センターで働くよう強要された人々が死亡した場合には、死刑もあり得る内容だった。
7月28日には、ミャンマー議会がこの法案を承認した。ただし、大統領の裁可が完了したかどうかは確認されていない。

