
トランプ政権が量子コンピューターに340億円 暗号資産が"盗まれる日"は来るのか
トランプ政権が総額60億ドル(約9500億円)超の科学振興策をぶち上げた。目玉は誤り耐性量子コンピューターの開発コンペ。だがその技術は、暗号資産を守る"鍵"を揺るがしかねない諸刃の剣でもある。

総額60億ドル(約9500億円)超——。
米トランプ政権が、巨額の科学振興策をぶち上げた。目玉は2億1500万ドル(約340億円)を投じる量子コンピューターの開発コンペ。さらにAIツールと計算資源をめぐり、産業界から24億ドル(約3800億円)もの拠出を取り付けたというから驚きだ。
340億円の"量子レース"に号砲
米エネルギー省は現地時間8日(木)、「クオンタム・ジェネシスQ」コンペティションの道しるべとなる8つの科学的応用分野を明らかにした。誤り耐性(フォールトトレラント)量子コンピューターを開発する企業に、最大2億1500万ドル(約340億円)を投じる計画だ。
計画が最初に発表されたのは9月のこと。資金は、開発の節目(マイルストーン)を達成するごとに支払われる報奨金と、より強力な量子システムを実証した企業に贈られるインセンティブ賞で構成される。研究の重点分野は化学、材料科学、素粒子物理学、応用数学にまで及ぶ。
暗号資産の"金庫"はこじ開けられるのか
だが、この号砲を手放しで喜べない業界がある。暗号資産だ。
公開鍵暗号に依存するブロックチェーン上の資産は、誤り耐性量子コンピューターの進歩によって影響を受けかねない。9月23日には、EUの金融監督当局3機関が、量子コンピューターの高性能化がブロックチェーンや金融取引を守る暗号システムを根底から揺るがしかねないと警鐘を鳴らしたばかりだ。
一体、何が起きるのか。
十分に強力な量子コンピューターが完成すれば、外部にさらされた公開鍵から秘密鍵を割り出せる恐れがある。そうなれば攻撃者は、他人の資金をまんまと盗み出せてしまう。
ただし現時点で、そうした攻撃をやってのけられる量子コンピューターは、まだこの世に存在しない。
エヌビディアは1580億円 テック企業11社の"大盤振る舞い"
ホワイトハウスはさらに、テック企業11社がAIツールと計算資源(コンピュート)クレジット、計24億ドル(約3800億円)分を拠出し、15の連邦政府機関の研究を支援すると発表した。
その顔ぶれが壮観だ。筆頭はエヌビディアの10億ドル(約1580億円)。AMDが5億ドル(約790億円)、オープンAIが2億ドル(約316億円)で続き、アンソロピックとグーグルもそれぞれ1億5000万ドル(約237億円)を差し出す。

