
AIが社員1200人分の仕事を代行…コインベース「コード95%AI化」で始まる大量失業時代
米大手暗号資産取引所コインベースでは、AIが書くコードの割合が95〜100%に到達した。わずか数人で従来10人以上の仕事をこなし、AIエージェントはすでに1200人分の開発業務を担当。2030年には「10万人分」の仕事を担うとの見通しまで示された。AIによる雇用革命は、もはや未来の話ではない。

「AIが仕事を奪う」と言われ続けてきたが、それが現実になりつつある。
米大手暗号資産取引所のコインベースでは現在、社内で書かれるコードの95〜100%が、大規模言語モデル(LLM)によって生成、あるいはAIの支援を受けて作成されているという。これは、同社のプラットフォーム部門責任者ロブ・ウィトフ氏がコインテレグラフの取材で明かしたものだ。
「社員全員が毎日AIを使う」
コインベースは今年5月、約700人を削減する大規模な人員整理を実施した。全従業員のおよそ14%に相当する規模だ。
当時、CEOのブライアン・アームストロング氏は社員向けメールで、
「AIによって仕事のスピードは劇的に変化した。AIを中心に据え、創業当時のスピード感を取り戻す必要がある」
と説明していた。
そして現在では、
「実質的に社員の100%が毎日AIを利用している」
という状況にまで進んでいるという。
さらに驚くべきことに、AIが関与するコードの割合は今年2月時点では約40%だった。それがわずか数カ月で95〜100%へと急増した。

Rob Witoff talks about Coinbase’s adoption of AI. Source: Cointelegraph
重要な暗号技術だけは人間が担当
もっとも、すべてをAI任せにしているわけではない。
ウィトフ氏によると、利用方法には大きな幅があり、システムの重要度によって役割を分けているという。
最も重要な暗号技術については、人間の暗号学専門家がコードを1行ずつ精査する。一方、AIはコードのテストや脆弱性の確認、数学的な検証を担当する。
逆に、新機能の試作品(プロトタイプ)の開発については、現在ほぼ100%自動化されているという。
「10人の仕事を3人でこなす」
AI導入によって組織構造そのものも変化した。
現在では、経験豊富な社員2〜3人で、以前なら10人以上必要だった業務をこなせるようになったという。
今回のリストラでは、特に若手エンジニアへの影響が大きかった一方で、削減対象は開発部門だけではなく、マーケティング、法務、カスタマーサポート、コンプライアンス部門にも及んだ。
ウィトフ氏は、小規模チームが成果を出すためには、
「経験から得た判断力や勘が重要になる」
と説明。AIに適切な指示を出せる人材こそ価値が高まるとの認識を示した。
AIエージェントが「1200人分」働く
現在、コインベースのエンジニア1人あたり5〜10体のAIエージェントを同時に動かしているという。
これらを合計すると、すでに約1200人分のプログラミング業務をAIが担っている計算になる。
さらに同社は、
2030年までにAIエージェントが10万人分の業務をこなす可能性がある
との見通しまで示している。

Coinbase said its AI spend has remained “flat” despite growing token use. Source: Brian Armstrong
AI時代のリストラはコインベースだけではない
AI導入を背景にした人員削減は、コインベースだけの話ではない。
今年3月には暗号資産取引所Crypto.comが従業員の約12%を削減。「新しい時代に適応できない職種」が対象になったと説明した。
また2月には、決済企業BlockのCEOであるジャック・ドーシー氏も従業員の約40%を削減。
ドーシー氏は、
「AIツールと、小さくフラットな組織が、新しい会社のあり方を生み出している」
とX(旧Twitter)で語っている。
このほかにも、Kraken、Gemini、Messari、Duneなど、暗号資産業界ではAIによる効率化を理由とした組織再編が相次いでいる。

