
ビットコインは今が買い場?政府系ファンドが“安値買い”を始めた理由
政府系ファンドのビットコイン買いは、いまだ様子見を決め込む機関投資家たちに「極めて明確なシグナル」を送る――。ミッドチェーンズのバシル・アル・アスカリCEOはそう語った。

政府系ファンドが、現物ビットコインを静かに買い集めている――。
ミッドチェーンズのバシル・アル・アスカリCEOによれば、足元のビットコイン価格は、機関投資家にとって「魅力的な水準」になりつつあるという。
個人投資家による暗号資産市場への参加は鈍っている。だが、機関投資家や企業の動きはむしろ逆だ。アル・アスカリ氏は月曜日、コインテレグラフのポッドキャスト番組「チェーン・リアクション」でそう語った。
「少なくとも1つ、おそらく今後数週間で2つの政府系ファンドが、現物ビットコインを買い集めていることは確認できます」
政府系ファンドとは、国家が保有する投資ファンドであり、通常はその国の外貨準備などを原資とする。つまり、これは単なる民間投機ではない。国家レベルの確信がにじむ動きだ。世界の政府系ファンドが運用する資産は、合計で13兆ドル、日本円にして約2106兆円を超える。
アブダビを拠点とし、個人・機関投資家向けに規制下の暗号資産取引プラットフォームを運営するミッドチェーンズ。そのトップであるアル・アスカリ氏は、足元の低い価格帯について、長期にわたって淡々と買い増せる「巨大ファンド」にとっては、まさに「入口の水準」と見られていると説明した。

すぐに暴騰ではない だが“合図”にはなる
もっとも、これが直ちにビットコイン価格を大きく押し上げる「雪崩」のような買いになるわけではない。アル・アスカリ氏はそう釘を刺す。
ただし、重要なのはそのシグナルだ。
まだ様子見を続けている他の機関投資家に対し、先行する大型ファンドの動きは「極めて明確な合図」になる。彼らはその背中を見ながら、ビットコインに「試しに関与し始める方法」を探っていくことになるという。
「長い目で見れば、より長期の投資期間を持つ大口保有者が増えることで、ビットコインはますます希少になっていくでしょう」
アブダビの政府系投資会社ムバダラ・インベストメント・カンパニーは2025年2月、ブラックロックの現物ビットコインETF「アイシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」を通じ、4億3700万ドル、約708億円相当をビットコインに投じた。
一方、ブータンのドルック・ホールディング・アンド・インベストメンツは、ビットコインを最も早く、かつ直接的に保有してきた政府系機関の一つだ。ただし同機関は今年、一部を売却している。
ETFからは資金流出 それでも企業は押し目買い
コインベースの機関投資家戦略責任者ジョン・ダゴスティーノ氏も、今月初めにCNBCで同様の見方を示している。今回の下落は、機関投資家にとってむしろ歓迎されているというのだ。
「中東から戻ったばかりですが、UAEのファミリーオフィス、政府系ファンド、そして政府関連の資金は、この資産クラスを買うために動いています。彼らは、割安で買えることを不満に思ってはいません」
足元の状況は、一枚岩ではない。
米国の現物ビットコインETFからは、今月だけで41億ドル、約6650億円を超える資金が流出している。
その一方で、企業の財務部門は買いを続けている。中心にいるのはストラテジーだ。同社は今月、3657BTCを追加取得した。
個人が静まり返る市場の陰で、国家マネーと企業マネーがビットコインを拾い続けている。
それは、次の相場の主役が誰なのかを示す、静かな前触れなのかもしれない。

