
ビットコイン決済も課税対象? 南アフリカ、暗号資産の税務ルール草案を公表
南アフリカの税務当局は、既存の所得税およびキャピタルゲイン税のルールの下で、暗号資産がどのように課税されるのかを明確にする草案ガイダンスを公表した。8月31日まで一般からの意見を募っている。

南アフリカの税務当局が、暗号資産をめぐる課税ルールの明確化に乗り出した。既存の所得税およびキャピタルゲイン税の枠組みの下で、暗号資産をどのように扱うのか。その解釈を示す新たなガイダンス案が公表されたのである。
南アフリカ歳入庁(SARS)は水曜日、暗号資産課税に関する草案ガイドラインを公開した。そこでは、主に1962年所得税法とキャピタルゲイン税のルールを適用する形で、暗号資産の税務上の取り扱いが示されている。
草案によれば、暗号資産の取引、交換、支払いへの利用といった多くの行為は、原則として「処分」とみなされ、課税イベントを引き起こす可能性がある。ただし、SARSは同時に、最終的な判断は各納税者の具体的な事情に大きく左右されると強調している。
このガイドライン案が採用されれば、国内の数百万人規模の利用者に影響が及ぶことになる。SARSは2024年時点で、南アフリカ国内に少なくとも580万人の暗号資産保有者がいると報告していた。
暗号資産は「通貨」ではなく「資産」
今回のガイダンス文書は、暗号資産について、法定通貨でも外国通貨でもなく、税務上は無形資産として扱われると改めて明記した。
SARSは次のように説明している。
「暗号資産の法的性質について望ましい解釈は、それが極めて多用途であり、譲渡可能性を持つとしても、『通貨』ではなく、したがって『外国通貨』でもない、というものである」
つまり、ビットコインなどの暗号資産は、日常的には決済手段として使われることがあっても、税務上はランドやドル、ユーロのような「通貨」としては扱われない。あくまで、売買や譲渡によって損益が発生し得る「資産」として見られることになる。

Source: SARS
課税判断のカギは「納税者の意図」
今回のガイドラインで大きな比重を置かれているのが、納税者の「意図」である。
SARSによれば、ある人物が短期売買を行うトレーダーなのか、それとも長期保有を目的とした投資家なのかは、その行動、取引頻度、そして暗号資産を保有する目的によって判断される。

An excerpt on how taxpayer intention is assessed, according to the proposed guidelines. Source: SARS
SARSはこう述べている。
「資産を取得した時点、売却した時点、そして保有している期間中における納税者の意図を考慮することが重要である。なぜなら、ある資産に対する納税者の意図は、時間の経過とともに変化し得るからである」
同庁はさらに、この判断には、関連するすべての事実と状況を広く評価する必要があると付け加えた。
たとえば、当初は長期保有のつもりで暗号資産を購入したとしても、その後、頻繁な売買を繰り返すようになれば、税務上の見方が変わる可能性がある。逆に、一時的な売却だけで直ちにトレーダー扱いされるとは限らない。問題は、個別の事実関係の積み重ねということになる。
贈与税の対象にも
ガイドラインでは、暗号資産が南アフリカの贈与税の対象となる可能性にも触れている。
税法上、暗号資産は「財産」として扱われるため、贈与された場合には課税対象となり得る。税率は贈与額に応じて20%から25%の範囲とされている。
草案への意見募集は8月31日まで
今回のガイダンス案は、まだ最終的な法律ではない。SARSは8月31日まで一般からの意見を受け付けている。
同庁は、この草案について、新たな法的義務を導入するものではなく、既存の法律の解釈を明確にすることを目的としていると説明している。
南アフリカは、アフリカ大陸でも有数の暗号資産市場に成長している。チェイナリシスが2024年10月に公表したレポートによれば、調査対象となった1年間で、同国が受け取った暗号資産の価値は約260億ドルに達した。日本円に換算すると、約4兆2100億円に相当する。
チェイナリシスはまた、受取額の大部分を占めたのは、機関投資家やプロフェッショナル規模の取引だったと分析している。特に2023年後半から2024年第1四半期にかけて、大口かつ組織的な市場活動が目立ったという。
個人投資家だけの熱狂ではない。南アフリカの暗号資産市場は、より大きく、より制度化されたプレイヤーが存在感を強める段階に入りつつある。その現実を前に、税務当局もまた、網をかけ直そうとしているのである。
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