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Martin YoungライターFelix Ng監修編集者

ビットコインに迫る「6万ドル割れ」米インフレ4%超で金にも逆風

最新ニュース公開日2026年6月11日

「いまのマクロ環境は、ビットコインにとってなお逆風である」。テンエックス・リサーチのマーカス・ティーレン氏は、そう冷ややかに見ている。

ビットコインと金に、再び重い雲が垂れ込めている。

米国で5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.2%上昇したことを受け、市場アナリストらは、年内にビットコインと金がさらなる逆風にさらされる可能性があると警鐘を鳴らしている。

米経済全体におけるモノやサービスの価格動向を広く示すCPIの上昇は、米中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るとの期待をしぼませた。市場関係者の間では、年内の利上げすら視野に入るとの見方も出ている。暗号資産のようなリスク資産にとっては、決して歓迎できる話ではない。

US inflation surges to a three-year high. Source: Trading Economics 

ビットコインにとって、今年前半はすでに苦しい展開となっている。ビットコイン価格は1月から36%下落し、金も1月の高値から23%下げた。一方で、原油価格は同じ期間に50%超も上昇している。

機関投資家向け取引会社セオの最高投資責任者、イギー・イオッペ氏はコインテレグラフに対し、次のように語った。

「今回のCPIは市場予想通りだったが、FRBを慎重な姿勢にとどめ、データ次第という態度を変えさせるものではない。利下げを急ぐ理由にはならない」

CPIは、消費者が通常購入する商品やサービスの価格が時間とともにどう変化したかを示す指標であり、FRBが金融政策を判断するうえで重視するデータのひとつだ。

イオッペ氏は、ビットコインについても、今回の結果が明確な上昇材料になる可能性は低いとみている。

「ビットコインにとって、市場予想通りのCPIは、上にも下にもきれいな材料にはなりにくい。流動性への期待は抑えられ、リスク資産は新たなハト派材料よりも、投資家のポジション動向に左右される展開が続くだろう」

同氏は、金についてもなお圧力が残ると指摘する。

「重要なのは実質利回りだ。近い将来の利下げが見込めない以上、利息を生まない資産である金を保有する機会費用は高止まりする」

機関投資家のビットコイン回帰はまだ先か

テンエックス・リサーチのマーカス・ティーレン氏も、現在のマクロ環境はビットコインにとって引き続き逆風だとみている。

「今回のデータは、ウォール街の投資家がビットコインへ本格的に資金を再配分するほど前向きな内容ではない」

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同氏はさらにこう続けた。

「機関投資家は、インフレが持続的に低下しているというさらなる証拠を確認してからでなければ、エクスポージャーを増やそうとはしないだろう。同時に、イランをめぐる紛争の激化は追加の不確実性をもたらしている。とりわけ、原油供給の混乱が続くリスクは無視できない」

ティーレン氏は、こうした供給混乱が夏場にかけて「より顕著になる」可能性があり、その場合、インフレ期待に再び上向きの圧力がかかると予想している。

同氏は、ビットコインは「なお脆弱な状態にある」とし、今後数日で6万ドルを割り込む可能性が「ますます高まっている」と指摘した。

6万ドルは、現在の為替水準で約963万円に相当する。

Rates have been unchanged since December 2025. Source: Trading Economics 

リスク選好が戻る条件

ハッシュキー・グループのシニアリサーチャー、ティム・サン氏は、利上げ観測が「熱を帯びている」としながらも、FRBが年内に実際に利上げする可能性は「比較的低い」と述べた。

「インフレが低下し、利下げが可能になり、資本コストの低下とともに流動性が改善して初めて、市場全体のリスク選好は本格的に反転する」

CME先物市場は、6月17日に予定されている次回FRB会合で政策金利が据え置かれる確率を98.4%と織り込んでいる

つまり、市場が今見ているのは「利下げ期待」ではなく、「利下げが遠のいた世界」である。

ビットコインも金も、金融緩和という追い風を失ったまま、原油高とインフレ再燃という向かい風の中を進むことになる。

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