
予測市場で買収ラッシュ到来か ロビンフッドやコインベースが狙う「賭け市場」の支配権
バーンスタインによれば、各プラットフォームは取引所、清算、ブローカレッジのインフラを自社内に取り込みつつある。買収・提携の呼び水となる一方で、独占禁止法上のリスクや規制当局による監視を強める展開にもなりそうだ。

予測市場の運営各社が、取引インフラを次々と自社の手中に収めようとしている。こうした急速な地殻変動が、暗号資産プラットフォーム、スポーツブック、証券会社、そして独立系取引所を巻き込む買収ラッシュにつながる可能性がある――。バーンスタインのアナリストらがそう指摘した。
バーンスタインは月曜日に公表した調査レポートで、予測市場業界はいま「オペレーショナル・コンソリデーション」、すなわち業務面での統合局面に入っていると分析した。大手プラットフォーム各社が、予測市場を構成する「スタック」のより広い部分を、自ら支配しようとしているというのだ。
同社はこう述べている。
「重要な消費者向けプラットフォームはすべて、予測市場スタックのフロントエンドとバックエンドを統合している」
ここでいうスタックには、流通、ブローカレッジ、取引所、清算といった機能が含まれる。これまで別々の業界に属していた企業群が、いまや同じ競争の土俵に引きずり出されている、というわけだ。
バーンスタインは具体例として、ロビンフッドが主要なワールドカップ関連契約を、サスケハナと共同所有する取引所「ロセラ」を通じて取り扱っていることを挙げた。また、ドラフトキングスが「DKeX」を立ち上げ、CMEやクリプトドットコムのインフラから取引量を移しつつある点にも言及した。さらに、コインベースによる「ザ・クリアリング・カンパニー」の買収とイベント契約の開始も、消費者向けプラットフォームが予測市場スタックの支配を強めようとしている証左だとした。
インフラを自前で持てば、従来は外部パートナーに流れていた手数料を自社内に取り込める。買収は、流通網やライセンス、あるいは自社に欠けている機能を一気に手に入れるための近道となる。
だが、その統合の論理こそが、新たな火種にもなる。金融取引とギャンブルの境界線がさらに曖昧になれば、州当局や連邦当局による監視の目は一段と厳しくなるからだ。

Timeline of acquisitions. Source: Bernstein
規制当局との衝突が、再編の足かせに
バーンスタインは、予測市場セクターにおける大規模な統合を阻む最大の障害の一つが、規制当局による監視だと指摘している。
暗号資産プラットフォームと証券会社、スポーツブック、取引所を組み合わせれば、利益率の改善や外部パートナーへの依存低下が期待できる。しかし、こうした取引は独占禁止法上の審査を招きかねない。さらに、スポーツイベント契約を金融デリバティブとして規制すべきなのか、それともギャンブル商品として扱うべきなのかという論争を、より深刻化させる恐れもある。
この問題は、すでに複数の州で表面化している。ミネソタ州は、米商品先物取引委員会(CFTC)が「予測市場に対する初の全面禁止」と表現した規制を導入した。一方、イリノイ州も、スポーツイベント契約を提供するプラットフォームに対し、州のライセンス取得を義務付ける法律を採択している。

Valuation of online sports books compared to leading prediction markets.
Source: Bernstein.
これに対し、カルシは両州の規制に異議を唱えた。同社は、連邦政府の規制を受ける取引所はCFTCの専属的な管轄下にあると主張している。
強まる州レベルの反発は、一つの現実を浮き彫りにしている。業界再編は商業的には理にかなっているかもしれない。だが、連邦のデリバティブ規制がどこまで及び、州のギャンブル規制がどこから始まるのか――その線引きを規制当局と裁判所が決着させるまでは、実行に移すのは容易ではなさそうだ。

