
株も原油も24時間取引へ? ハイパーリキッドが示す「金融の暗号資産化」
パンテラ・キャピタルは、無期限先物が世界金融の“本命商品”になりつつあると指摘。暗号資産DEXのハイパーリキッドは、株式・商品・指数にまで領域を広げ、伝統金融の牙城に迫っている。

無期限先物は、いまや世界金融における主要な取引商品の一角へとのし上がろうとしている。ブロックチェーンを基盤とするインフラが、いかにして伝統的な金融市場に挑みうるのか。その実例として、分散型取引所(DEX)のハイパーリキッドが存在感を増している――。暗号資産分野に特化した資産運用会社パンテラ・キャピタルは、こう指摘した。
パンテラは水曜日のX投稿で、無期限先物には従来型デリバティブに比べて構造的な優位性があると説明した。24時間365日取引できること、契約満期がないこと、ポジション管理がシンプルであること、そして価格発見が途切れず続くこと。こうした特徴が、暗号資産市場の外側でも魅力を増しているという。
ハイパーリキッドのエコシステムに投資するパンテラは、同プロジェクトこそがこの流れを象徴する存在だと位置づける。ハイパーリキッドは、無期限先物の対象を暗号資産だけでなく、株式、コモディティ、株価指数へと広げている。創業者ジェフ・ヤンが掲げる「金融のすべてを収容する」という構想の一環だ。
その成長ぶりは、伝統金融の側にも無視できないものとなっている。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)も、その動向に目を向けている。ICEのジェフリー・スプレッチャーCEOは、24時間取引可能なオンチェーン無期限先物を展開するためには、規制当局が「公平な競争環境」を整える必要があると訴えた。
パンテラ・キャピタルによれば、ハイパーリキッドはオンチェーン無期限先物の市場シェア拡大をけん引している。DEXにおける無期限先物の取引高は、中央集権型取引所(CEX)の無期限先物取引高に対して14%にまで上昇した。ハイパーリキッドがローンチした2023年初頭には、この比率は1%にも満たなかった。
パンテラによると、ハイパーリキッドはオンチェーン無期限先物の取引高のおよそ40%を占めている。また、DefiLlamaのデータでは、同プロトコルは暗号資産業界で4番目に大きな手数料収入を生むプロトコルとなっており、過去7日間の手数料収入は1350万ドル、日本円で約21億9000万円に達した。

Top protocols by weekly fees generated. Source: DefiLlama
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伝統金融も「24時間市場」に動き出す
暗号資産プラットフォームと伝統金融機関は、従来型の投資商品をブロックチェーンの“包装紙”で包み直そうとしている。
5月22日、OKXはICEとの提携のもと、ICEのブレント原油とウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油のベンチマークに基づく無期限先物をローンチする計画を発表した。
さらに3月には、NYSEがトークン化プラットフォームのセキュリタイズと提携した。ウォール街向けに、24時間取引と決済に対応するブロックチェーンベースの株式取引インフラを開発する、より大きな取り組みの一環である。
そして1月には、NYSEの親会社ICEが、トークン化証券の取引基盤構想を明らかにしていた。そこでは24時間取引、即時決済、ステーブルコインを使った資金供給、オンチェーン決済が想定されている。
つまり、もはや「暗号資産だけの話」ではない。眠らない市場を先に作ったオンチェーン金融が、いま伝統金融の取引時間、決済速度、そして市場設計そのものを揺さぶり始めている。

