
ハンガリーが暗号資産の厳格規制を撤回 EU初の「MiCA」ライセンスでコインキャッシュ復活へ
「これまでの規制は市場を揺るがす悪法だった」——財務相自らが失政を認めた。厳しすぎるルールに嫌気がさし、暗号資産業者が次々と国外へ逃げ出したハンガリーが、ついに大方針転換に踏み切った。EU統一ルール「MiCA」に基づく国内初のライセンスを勝ち取った取引所コインキャッシュが、営業再開へと動き出す。その混乱の一部始終を追った。

ハンガリーが、暗号資産をめぐる厳格な規制を、次々と巻き戻し始めた——。
きっかけは、ブダペストに拠点を置く暗号資産取引所コインキャッシュ(CoinCash)が、EU=欧州連合の統一ルール「MiCA(暗号資産市場規制)」に基づく認可を取得し、サービス再開の準備に入ったことだ。
ハンガリーの税務・法律系メディア「Ado.hu」が火曜日に報じたところによると、ハンガリー議会は、同国独自の「検証業者(バリデーター)制度」を撤廃する法案を可決。一部の暗号資産取引について義務づけられていた"第三者のお墨付き"が、ついに不要となった。
カールマーン・アンドラーシュ財務相は、これまでの規制がハンガリーの暗号資産市場を混乱させ、一部の事業者が国内での営業停止に追い込まれたことを受けて、この検証義務を撤廃したのだと明かす。
「これまでの否定的で、市場を揺るがすような規制のせいで、多くのプレーヤーがハンガリー国内での暗号資産関連サービスを打ち切ってしまった。だが、市場はいま、回復の兆しを見せている」
財務相は火曜日、自身のフェイスブックにこう書き込んだ。
今回の動きは、追加の承認手続きを取り払う一方で、より広範なライセンスやコンプライアンス(法令順守)の要件は残すという、ハンガリー暗号資産セクターにおける大きな方針転換を意味している。
ハンガリーの"暗号資産検問"、その中身とは
ハンガリーがこの制度を導入したのは、2024年に成立した暗号資産法だった。特定の暗号資産の交換について、わざわざ別枠の検証プロセスを新設したのである。
2025年7月1日に施行されたこのルールでは、コンプライアンス宣言を発行する前に、ライセンスを持つ検証業者が、暗号資産の出所、ウォレットの所有者、顧客情報といった詳細を確認することが義務づけられていた。
このシステムは、MiCAとは別に、取引ごとの承認という"もう一段の関門"を上乗せするものだった。さらにハンガリーは、暗号資産サービスプロバイダー(CASP)に対して、MiCAの移行期間を独自に短縮。EUが定める最長の移行期限が2026年7月1日であるのに対し、ハンガリーは2025年7月1日までの対応を求めるという念の入れようだった。
こうした厳格すぎる規制環境が、一部の暗号資産プラットフォームをハンガリーからの撤退へと追い込んだ。ブダペストの取引所コインキャッシュもその一つで、MiCA認可の取得を目指しながら、2025年12月に自主的に営業を停止していた。
コインキャッシュ、ハンガリー初のMiCAライセンスを獲得
コインテレグラフが確認した同社の発表によれば、ハンガリー国立銀行(MNB)は7月20日、コインキャッシュの運営会社ティワラ・ソリューションズ(Tiwala Solutions)に対し、EUのMiCA規制に基づく認可を付与した。
「我々は、EUの枠組みのもとで国立銀行から直接認可を受けた、ハンガリー初にして唯一の企業だ」
コインキャッシュの共同創業者ガーボル・ガランタイ氏は、金曜日のリンクトインへの投稿でこう胸を張った。
今回の認可の対象範囲は、カストディ(保管)、暗号資産と法定通貨の交換、暗号資産同士の交換、送金、投資助言、ポートフォリオ運用と広範に及ぶ。
コインキャッシュによれば、認可取得までには数カ月に及ぶコンプライアンス審査があり、要件を満たす準備のために営業を停止していたという。同社は今後、段階的にサービスを再開し、取引にとどまらず、MiCAの規制下にあるさらなるサービスへと事業を広げていく構えだ。

