
ハンガリー、暗号資産取引の規制撤回へ「最大8年の禁錮刑」制度を見直し
ハンガリー政府が、暗号資産取引への“締めつけ”を解く。暗号資産の交換に当局認可の検証を義務づけ、利用者や事業者を刑事責任にさらしていた規制を、撤回する方針を示した。

ハンガリーが、暗号資産取引をめぐる“締めつけ”を一転させる。
暗号資産と法定通貨、あるいは暗号資産同士の交換について、場合によっては禁錮刑まで科していた規制を非犯罪化する方針だ。ティサ政権の報道官、アニタ・ケーブル氏が明らかにした。
ケーブル氏は木曜日の記者会見で、昨年導入された規則を見直すと述べた。この規則は、暗号資産の交換にあたって認可済みの検証を義務づけ、違反した場合には刑事罰を科すものだった。
だが、この規制は市場を冷え込ませた。ケーブル氏によれば、国内の暗号資産取引活動は落ち込んだという。
「これは不要な法律でした。実務上の運用を不可能にし、市場参加者を怖がらせたのです」
ケーブル氏はそう語った。さらに、刑事罰の存在が「数十万人に悪影響を及ぼした」とも述べている。
この規制を受け、レボリュートを含む複数のデジタル資産プラットフォームは、ハンガリー国内で暗号資産サービスを停止していたという。ケーブル氏はまた、この規制について、EUのルールと整合するのかをめぐり、欧州連合による調査も招いたと説明した。
今回の方針転換は、ハンガリーにとって大きな政策転換となる。2025年に導入された同国の暗号資産制度は、暗号資産取引に厳格な承認制度を設け、利用者とサービス提供者の双方を刑事責任にさらすものだった。

Hungary’s officials speaking at a press conference. Source: Péter Magyar/YouTube
ハンガリーの2025年暗号資産規制、取引者に禁錮刑の恐れ
問題の規制は、2025年に可決された法改正パッケージに端を発する。ハンガリー刑法と、暗号資産市場に関する2024年法律第7号、いわゆる「暗号資産法」を改正するものだった。
2025年7月1日に施行された改正では、暗号資産の交換は、認可を受けた「暗号資産交換検証サービス提供者」が発行する適合証明書を得た場合に限って実施できるとされた。
この証明書を欠く取引は「無認可暗号資産取引」とみなされ、関連する資産移転は無効とされ、法的効力を生じない扱いとなった。
この枠組みでは、「暗号資産交換検証サービス提供者」という新たな事業者類型も設けられた。これらの事業者は、ハンガリーの規制活動監督庁から認可を受ける必要があった。
彼らに課された役割は、暗号資産の出所確認、ウォレットや端末の所有者確認、利用者プロファイルの評価、外部データベースとの照合などである。そのうえで、適合証明書を発行する仕組みだった。
だが、問題はここからだった。
無認可の交換サービスを使って、500万フォリントから5000万フォリント相当、すなわち約1万6000ドルから16万ドル、日本円で約256万円から2560万円相当の暗号資産を交換した個人や法人は、最長2年の禁錮刑に問われる可能性があった。

A highlighted excerpt of Hungary’s updated Criminal Code with the new penalties for using unauthorized crypto exchanges. Source: National Legislation Database of Hungary
取引額が5000万フォリントから5億フォリント、つまり約16万ドルから160万ドル、日本円で約2560万円から2億5600万円に達すれば、刑は最長5年に引き上げられる。
さらに5億フォリントを超える取引では、最長8年の禁錮刑が科される可能性もあった。
ハンガリーがこの規制の撤回に動く背景には、4月12日の議会選挙がある。この選挙で、長年にわたり同国を率いてきた民族主義色の強いヴィクトル・オルバン首相の16年に及ぶ統治は終わり、ピーター・マジャル氏率いる親欧州派のティサ党が政権入りした。
新政権は、ハンガリーとEUのあいだで続いてきた長年の対立を和らげる方向へ舵を切っている。暗号資産規制の見直しも、その流れのなかに位置づけられる。

