
米中間選挙でCLARITY法案の行方は?コインベース系団体が暗号資産推進派32人を推薦
コインベースが立ち上げた暗号資産擁護団体「スタンド・ウィズ・クリプト」が、2026年米中間選挙で下院候補32人を推薦した。業界マネーと暗号資産支持者の票は、議会とCLARITY法案の行方を変えるのか。

米国議会の勢力図を、暗号資産の有権者が塗り替える――。そんな戦略が、いよいよ本格的に動き出した。
コインベースが2023年に立ち上げた政策提言団体「スタンド・ウィズ・クリプト」は24日、2026年の米中間選挙に向け、下院選に立候補する32人を支持すると発表した。選定の物差しとなったのは、暗号資産政策に対する各候補の姿勢だ。
同団体によれば、今回の推薦は、連邦政府の暗号資産政策に影響を与えるための選挙戦略の一環だという。「暗号資産政策を推進してきた実績のある候補」に加え、同団体の支持者数が選挙結果を左右しそうな激戦区にも狙いを定めた。
スタンド・ウィズ・クリプトのメイソン・ライノー事務局長は、こう力を込める。
「暗号資産有権者は、一時的なブームではない。持続的で、投票意欲の高い一大勢力になった。中間選挙では、重要な連邦議会選挙の勝敗をひっくり返す可能性がある」
さらに、民主・共和両党の候補者へ、こう警告した。
「今回の中間選挙は、ワシントンの暗号資産政策にとって重大な転換点となる。両党の候補者は従来とは異なる支持層を取り込もうとしているが、暗号資産有権者を見落とせば、痛い目を見ることになる」
専門家の間でも、暗号資産政策は接戦区の勝敗を左右する「スイング・イシュー」になり得るとの見方が出ている。
スタンド・ウィズ・クリプトは今年3月、最初の推薦候補として共和党3人、民主党3人の計6人を発表。この6人は全員が予備選を突破し、11月の本選に駒を進めた。同団体はオンラインの有権者向け拠点も開設し、党派を超えて暗号資産推進派の候補を支援している。
前回選挙では約271億円を投入
暗号資産業界は、すでに巨額の政治資金を動かしている。
2024年の選挙サイクルでは、暗号資産企業が支援する団体や政治活動委員会(PAC)が、業界に好意的とみられる候補者の支援に1億7000万ドル超(約271億円)を投入した。支援を受けた候補者の多くが、実際に当選を果たしている。
スタンド・ウィズ・クリプトによれば、2025年には270人を超える「暗号資産推進派」の政治家が連邦議会入りした。こうした議員の存在は、ステーブルコイン規制を定めた「GENIUS法」などの採決にも影響を与えた可能性がある。
CLARITY法案、残された時間はわずか
次期議会で上院と下院をどの党が押さえるかは、包括的な暗号資産市場構造法案が成立するかどうかを大きく左右する。
下院は2025年7月、超党派の支持を得て「デジタル資産市場明確化法案(CLARITY法案)」を可決した。しかし上院では、政治倫理やトークン化、ステーブルコインの報酬をめぐる議論が続き、審議は足踏みしたままだ。
CLARITY法案については、上院が休会を終えて9月15日に戻った後、審議終結動議が提出される予定だ。だが、11月の選挙前に上院が審議できるのは、わずか14日間にすぎない。
中間選挙後も2026年中の会期は22日間しか残されていない。その間に法案を下院へ差し戻し、さらに大統領の署名までこぎ着けられるのか。時間との勝負になっている。選挙前後の議会日程は、法案成立にとって極めて厳しいものとなっている。
先週にはドナルド・トランプ大統領が暗号資産企業のCEOや幹部らと並び、上院に対してCLARITY法案の「公正なバージョン」を可決するよう迫った。トランプ氏は業界幹部を前に、法案成立を公然と要求している。
もっとも、話は一筋縄ではいかない。トランプ一族と暗号資産業界との金銭的な結びつきが、採決の火種になりかねないからだ。最近の世論調査では、米国人の過半数がトランプ一族の暗号資産投資を「適切ではない」と回答している。利益相反への国民の視線は、依然として厳しい。
暗号資産をめぐる戦いは、もはや市場の値動きだけではない。次に動くのは、ワシントンの票である。

