
コインベースで株も買える時代へ 暗号資産取引所が総合金融アプリに変身
暗号資産取引所のコインベースが、ACATSによる株式移管に対応した。デジタル資産の枠を越え、伝統金融の領域へさらに深く踏み込む構えだ。株式関連の取引商品も広げ、「暗号資産だけの取引所」から総合金融プラットフォームへの脱皮を急ぐ。

コインベースが、既存の株式ポートフォリオを同社プラットフォームに移管できる機能を導入した。暗号資産取引所として知られてきた同社が、単なる暗号資産売買の場を超え、本格的な総合金融プラットフォームへ踏み出す新たな一手だ。
コインベースは火曜日、アクティブトレーダー向けサービス「コインベース・アドバンスト」を通じ、株式および上場投資信託(ETF)取引機能を拡充したと発表した。これにより、米国ユーザーは他の証券会社に預けている既存のポートフォリオを、コインベース上へ直接移管できるようになる。
今回の更新は、コインベースが今年初めに始めた株式・ETF取引サービスを土台にしたものだ。当初、このサービスではおよそ6000銘柄にアクセスできる仕組みだった。
同社はあわせて、手数料ゼロの取引、トレーディングビューのチャート機能、端株取引、さらに対象となるUSDC残高に対して最大3.5%のリワードも提供する。
コインベースの広報担当者はコインテレグラフに対し、ユーザーは「オートメーテッド・カスタマー・アカウント・トランスファー・サービス」、通称ACATSを通じて、保有資産を物理的に同社プラットフォームへ移管できると説明した。ACATSは、証券や現金を売却せずに証券会社間で移すための仕組みである。

Screenshot from a Coinbase account. Source: Coinbase
この拡張により、コインベースはロビンフッドのような伝統的証券会社・フィンテック企業との競争姿勢をいっそう強めることになる。ユーザーは株式、ETF、暗号資産を複数サービスに分散させるのではなく、ひとつの口座で管理できるようになるからだ。
火曜日の発表では、取引商品のさらなる拡大計画も明らかにされた。暗号資産および株式オプション、テーマ型株価指数の無期限先物、IPO前企業に連動する無期限先物、そして予測市場の拡充などである。
コインベースによれば、トークン化株式は来月から米国外の顧客向けに提供される予定だ。
一部機能はすでに利用可能だが、その他の機能は今後数カ月かけて順次展開される。ただし、当初の詳細なスケジュールは示されていない。
暗号資産収益が揺れるなか、コインベースは守備範囲を拡大
コインベースが暗号資産以外の領域へ踏み出す背景には、オンライン証券業界の競争激化がある。加えて、同社には、これまでデジタル資産市場に大きく左右されてきた収益源を多様化したい事情がある。
実際、同社の業績は暗号資産価格のサイクルと歩調を合わせてきた。たとえば2024年第4四半期決算では、米大統領選後の相場上昇を追い風に、売上高が130%増加し、市場予想を上回る好決算となった。
しかし直近では様相が変わった。2026年第1四半期には、暗号資産価格の低迷が取引活動の重しとなり、同社は市場予想外の赤字を計上した。1株あたり損失は1.49ドル、約239円。売上高は14億1000万ドル、約2260億円だった。

A summary of Coinbase’s Q1 2026 earnings. Source: Coinbase
アナリスト予想では、1株あたり27セント、約43円の利益、売上高15億2000万ドル、約2430億円が見込まれていた。つまり、利益でも売上高でも市場の期待を下回った格好だ。
コインベースの収益の柱は、今なお暗号資産の現物取引である。だが株式、ETF、その他金融商品の取り扱いを広げることで、デジタル資産市場の荒波に収益が振り回される構造を和らげられる可能性がある。

