
金属を「デジタル小分け」して79億円調達 ビットフィネックスが過去最大のRWAトークン化
ルクセンブルクの金属企業アルケミアが、純度99.99%のニッケル線を裏付けにしたトークン「ALKN」で5000万ドル(約79億5000万円)を調達した。ビットフィネックス・セキュリティーズにとって過去最大の案件で、これまでの記録だった米国債トークン「USTBL」の3000万ドル(約47億7000万円)を大きく上回る。トークンの販売は10月15日まで続く。

純度99.99%のニッケル線、その長さ実に700万メートル――。日本列島の南北(約3000キロ)を2往復してもなお余る金属の塊が、いまブロックチェーンの上で「細切れ」にされ、投資家の手に渡っている。
大手暗号資産取引所ビットフィネックス傘下のビットフィネックス・セキュリティーズが、金属企業アルケミアのために**5000万ドル(約79億5000万円)**のトークン化資金調達を完了した。同プラットフォームにとって過去最大の調達額であり、いま業界が色めき立つRWA(リアル・ワールド・アセット=現実資産)のトークン化を、また一歩前へ進めた格好だ。
木曜日、両社がコインテレグラフに寄せた発表によれば、今回の調達で用いられたのは「ALKN」と呼ばれるトークン化証券。ルクセンブルクに拠点を置くアルケミア・メタコアSCSpのリミテッド・パートナーシップ持ち分を表章するものだという。同パートナーシップが保有するのが、くだんの純度99.99%ニッケル線700万メートルである。その評価額は独立した第三者機関の査定で約16億4000万ドル(約2608億円)。ニッケルの針金が、である。
ビットフィネックス・セキュリティーズがコインテレグラフに明かしたところによれば、今回の5000万ドルは、これまでの自己最高記録だった「USTBL」の3000万ドル(約47億7000万円)を軽々と超えた。USTBLとは、エルサルバドルのデジタル資産法のもとで発行されたトークン化米国債商品にほかならない。同プラットフォームはこれまでに7件の資金調達を手がけ、16銘柄を上場させてきた。
一方、アルケミアの広報担当者は、ALKNが同社にとって初のトークン化プロジェクトだと説明する。投資家はこのトークンを通じて、パートナーシップの持ち分をデジタルで移転可能な「小口」の形で保有できる。つまりアルケミアは、抱え込んだニッケル資産を担保に、資金を引き出す道を手にしたわけだ。
調達した資金の使い道は――半導体などの用途に向けた「エンジニアド・ニッケル製品」の商業化である。ALKNトークンは10月15日まで、適格投資家向けにビットフィネックス・セキュリティーズ上で追加販売される予定。ただし、セカンダリー取引(流通市場での売買)が始まるのは、少なくとも次回の調達トランシェが完了した後になるという。

