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Martin YoungライターFelix Ng監修編集者

AIバブル崩壊なら世界経済に衝撃 BISが警告する「借金まみれの熱狂」の危うさ

最新ニュース公開日2026年6月30日

AI投資ブームは、金融危機の導火線になりかねない。BIS報告を受け、あるアナリストは「資金調達は巨額債務と、高レバレッジのノンバンク構造に支えられている。ひとたび巻き戻しが起きれば、急速に崩壊しかねない」と指摘した。

国際決済銀行(BIS)が、人工知能(AI)をめぐる“熱狂”に警鐘を鳴らした。AI関連企業への投資が借金頼みに傾きつつあるなか、投資家の楽観がしぼめば、連鎖的なデフォルトを招きかねないというのだ。

バーゼルに本部を置くBISは、日曜日に公表した年次経済報告で、世界最大級のハイパースケーラー5社が、2025年から2026年にかけてAI関連の設備投資に 1兆ドル超、約161.8兆円超 を投じる見通しだと指摘した。しかも、その投資額は各社の利益を上回るペースで膨らんでいる。

BISはこう警告する

「株式のバリュエーションは高水準にある。とりわけAI開発の中核にいる企業では顕著だ。こうした高成長を持続することは、次第に難しくなり得る」

AI投資への熱気は、直近のスペースXのIPO、さらにアンソロピックやオープンAIが計画する株式公開によって一段と高まっている。市場関係者のなかには、1920年代後半の電化ブーム、あるいは1990年代後半のドットコム・バブルと重ね合わせる向きもある。

BISによれば、2025年の世界経済は、相次ぐショックにもかかわらず「驚くほどの底堅さ」を見せた。その一因がAI投資だった。

だが2026年に入ると、危うさは増している。米国では5月のインフレ率が4.2%と3年ぶりの高水準に達し、根強いインフレへの懸念が再燃している。BISは、AI関連投資の持続可能性に加え、「金融面の脆弱性の高まり」と「財政状況の悪化」もまた、リスクを押し上げているとした

「インフレが大幅に上昇する、あるいはAI主導の投資が崩壊へ転じる場合、そのマクロ経済への影響は、既存の金融脆弱性によって増幅され得る」

Rapid AI boom raises questions about its sustainability. Source: BIS

中央銀行がインフレ抑制のために金融引き締めへ動けば、長く続いたリスク選好の熱狂の後で、AI関連資産の価格が急落する可能性がある。BISは、それが「混乱を伴うマクロ金融上のフィードバックループ」を引き起こしかねないとみている。

「AIへの楽観が反転した場合もまた、AI企業のレバレッジ上昇とクレジット市場における存在感の拡大を踏まえれば、重大な金融上の影響をもたらし得る」

システミックリスクの火薬庫

BISは、AI関連企業のバリュエーションが大きく調整すれば、過去よりも大きな資産効果を通じて、消費の落ち込みが鋭くなる可能性があると指摘した。米国市場の支配力が大きいからだ。

「AIバブルが崩壊した場合、金融安定もリスクにさらされ得る」

暗号資産を備えたAIエージェントが「逃げ出し、止められなくなる」可能性を専門家が警告している、という関連論点もある。

関連記事: 暗号資産ウォレットを持つAIが暴走する恐れ 「止められない存在になる」と専門家が警告

LVRGリサーチのディレクター、ニック・ラック氏はコインテレグラフに対し、BISがAI投資ブームをシステミックリスクの潜在的な火種として取り上げたことは正しいと述べた。

その理由は、AI投資の資金調達が「巨額の債務と、高度にレバレッジのかかったノンバンク構造」に依存しているためだ。こうした構造は急速に巻き戻され、このサイクルを危機へと増幅させる可能性があるという。

ラック氏はこう語る。

「現在のマクロ経済環境は、インフレ、記録的な国家債務、混乱する商品市場によって、すでに脆くなっている。そこにAI資本構造の崩壊が起きれば、過度に張り詰めた世界経済に衝撃波を走らせることになる」

BISはステーブルコインについても警戒感を示した。ステーブルコインは世界の通貨システムを分断し、各国の通貨主権による管理を弱める恐れがあるという。

チップフレーション」が問題をさらに悪化させる

AI産業は、自らの成功の犠牲者になるかもしれない。

AIデータセンター需要の急増に供給が追いつかず、半導体やメモリーチップの価格が上昇している。この流れはインフレをさらに押し上げ、最終的には消費者が負担を背負うことになる。

この現象は「チップフレーション」と呼ばれる。モルガン・スタンレーのアナリストは6月上旬、スマートフォンからノートパソコンまで、各種デバイスの価格を押し上げていると警告した。

ブラックロックも3月、半導体価格の急騰が「世界的な財インフレの上振れリスク」になっていると指摘している

そしてアップルはすでに、そのコストを消費者へ転嫁し始めている。同社は木曜日、メモリーとストレージ用チップの価格高騰を理由に、iPad、Mac、家庭用デバイスなど幅広い製品について、18%から最大33%近い値上げを行うと発表した

AIという名の金脈を掘り当てようと、世界の巨大企業が一斉にシャベルを振るっている。だが、その足元を支えているのが借金の山であるならば、熱狂の宴はいつか、金融市場を巻き込む冷たい二日酔いへと変わるかもしれない。

Price jumps for DRAM chips defy deflationary price dynamics. Source: BlackRock

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