
バイナンス、米国株ビジネスで“裏の取り分” アルパカとの収益分配契約が判明
暗号資産交換業大手のバイナンスが、米国株やETFのトークン化ビジネスで、着々と「次の収益源」を押さえにかかっている。同社は、カストディ業務や証券ブローカレッジ向けAPIインフラを手がけるアルパカとの収益分配契約を開示した。

暗号資産交換業大手のバイナンスが、米国株やETFのトークン化ビジネスで、着々と「次の収益源」を押さえにかかっている。
同社は、カストディ業務や証券ブローカレッジ向けAPIインフラを手がけるアルパカとの収益分配契約を開示した。アルパカは、トークン化された米国株や上場投資信託(ETF)の保管インフラを担う有力企業のひとつだ。
火曜日に公表された「バイナンス証券取引規約」によると、バイナンスはアルパカが得るペイメント・フォー・オーダーフロー(PFOF)手数料の50%を受け取る。さらに、ユーザーに利息を支払った後に残る株式貸借収益についても、利益の65%を受け取る取り決めになっている。
PFOFとは、顧客の注文を特定のマーケットメーカーなどに回すことで得られる手数料のことだ。米国の個人投資家向け証券取引ではおなじみの仕組みだが、暗号資産取引所が株式ビジネスへ踏み込むなか、その収益構造が表に出た格好だ。
アルパカは、バイナンスの株式取引サービスに対し、ブローカレッジ、清算、カストディのインフラを提供している。さらに同社は、トークン化米国株・ETF市場でも主要なインフラ提供者となっている。今年1月には、証券インフラ事業を対象に1億5000万ドル(約240億円)を調達し、評価額は11億5000万ドル(約1840億円)に達した。
今回の開示で見えてきたのは、バイナンスが暗号資産の枠を超え、米国株やETF取引をどのように収益化しようとしているか、という点だ。同社はすでに、7000本超の米国上場株とETFへのアクセスを開始しており、今後は「bストックス」と呼ばれるトークン化株式商品も投入する構えを見せている。
コインテレグラフはバイナンスに対し、この契約の詳細についてコメントを求めた。また、バイナンスがアルパカの少数株式を保有しているのかについても確認を求めている。

Binance Securities Trading Terms for tokenized stocks and ETFs, Revenue-Sharing Arrangements. Source: Binance
アルパカによれば、同社のカストディ下資産は2025年12月時点で4億8000万ドル(約768億円)に上る。データ提供会社RWA.xyzによると、トークン化株式市場全体の現在価値は16億2000万ドル(約2592億円)で、アルパカはそのうち29%の市場シェアを握っている計算になる。
トークン化株式市場の総額は、過去30日間でおよそ29%増加した。保有者数も35%増え、30万4700人に達している。だが一方で、月間アクティブアドレス数は77%超減少し、3万1877件まで落ち込んだ。つまり、投資家はこれらの資産を頻繁に売買するというより、むしろ保有に回っている可能性が高い。

Tokenized stock market total value. Source: RWA.xyz
暗号資産取引所が米国株に雪崩を打つ
米国株やETFを取り込もうとしているのは、バイナンスだけではない。
大手暗号資産取引所各社は、ブロックチェーンを使ったよりアクセスしやすい取引商品への需要を見込み、相次いで株式・ETF関連サービスを広げている。
4月には、暗号資産取引所ビットゲットが、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXの新規株式公開前、いわゆるプレIPO段階に連動する代理商品を提供した。
バイナンスも5月21日、スペースXの将来的な上場時評価額に連動するプレIPO先物商品を投入している。

Source: Binance
また、ウィーンを拠点とする暗号資産取引所ビットパンダは今年1月、約1万本の株式とETFを扱う方針を明らかにした。
さらにクラーケンも2025年4月、1万1000本の米国上場株とETFを手数料無料で取引できるサービスを開始した。狙いは、ひとつの取引プラットフォーム上で「株式とデジタル資産を融合させる」ことにあるという。
暗号資産取引所の主戦場は、もはやビットコインやイーサリアムだけではない。株式、ETF、プレIPO商品、そしてトークン化証券へ――。
“暗号資産の取引所”だったはずのバイナンスは、いまや証券ビジネスの深部へと静かに足を踏み入れている。
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