
CFTCの暗号資産規制に批判「個人投資家を守れない、SECが適任」
米商品先物取引委員会(CFTC)が、個人向け暗号資産取引の規制づくりに乗り出した。だが金融改革団体ベター・マーケッツは、個人投資家保護を使命としないCFTCでは安全網が弱くなりかねないと警鐘を鳴らしている。

米国のデリバティブ規制当局が、個人向け暗号資産取引のルールづくりに動き出した。ところが、その“監督役”は本当に適任なのか――。
非営利の金融改革団体ベター・マーケッツは、CFTCが一部の個人向け暗号資産取引を監督すれば、投資家保護がかえって弱くなる恐れがあると批判した。CFTCには、この市場を取り締まる十分な態勢が整っていないというのだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)は月曜日、現行法で与えられた権限に基づき、証拠金取引、レバレッジ取引、融資を伴う個人向け暗号資産取引を対象とした規制枠組みについて、一般からの意見募集を開始した。
これに待ったをかけたのが、ベター・マーケッツで証券政策ディレクターを務めるベンジャミン・シフリン氏だ。同氏は、個人投資家を守るという点で、CFTCによる監督は米証券取引委員会(SEC)よりも不向きだと主張する。
「SECとは異なり、CFTCには投資家保護という使命がありません。CFTCの任務は商品・デリバティブ市場の規制です。これらの市場は歴史的に大手機関投資家が中心であり、個人投資家の参加はごくわずかでした」
シフリン氏はさらに、こう続けた。
「CFTCの規則には、投資家がSECの監督下にある証券を取引する際に適用される保護措置がありません。個人顧客による暗号資産取引を規制する機関として、CFTCは適切ではないのです」
ベター・マーケッツの批判が飛び出した背景には、米議会での法整備の頓挫がある。CLARITY法案が議会で行き詰まったことを受け、CFTCとSECは現行法の範囲内で暗号資産政策を進めている。両機関は以前から、新法の成立を待たずに行動する構えを示していた。
「世界の暗号資産首都」は本当に必要なのか
ベター・マーケッツは、こうした個人向け暗号資産取引をCFTCに監督させることが米議会の意図だった、というCFTC側の説明にも疑問を呈した。
シフリン氏によれば、CFTCが根拠としている法的権限は、もともとレバレッジをかけた貴金属取引での詐欺を取り締まるために設けられたものだ。それをもって、CFTCを個人向け暗号資産市場の主要な監督機関にするという議会の意図があったとは言えない、と同氏は指摘する。
検討中の規制枠組みについても、市場参加者同士の系列・提携関係を認める可能性があると批判した。ベター・マーケッツは、こうした関係こそがFTX破綻の一因になったとみている。
シフリン氏の矛先は、米国を「世界の暗号資産の首都」にするというマイク・セリグCFTC委員長の発言にも向かった。
「しかし、それがなぜ良いことなのか、委員長は説明していません。例えば米国は、世界最大のコカイン生産国ではありません。だからといって文句を言う人はいない。そうならないだけの、もっともな理由があるからです」
さらに同氏は、暗号資産そのものを厳しく切り捨てた。
「暗号資産は18年にわたる取り組みと、根拠がなく、何度も否定されてきた数え切れない主張を経てもなお、現実社会での利用例を欠いています。使われるのは、純粋な投機か犯罪目的のどちらかです」
これに対し、ノバディウス・ウェルス・マネジメントのネイト・ジェラチ社長はXへの投稿で反論した。
同氏によれば、暗号資産業界が求めているのは、単に明確なルールだ。議会がそれを示せないのであれば、CFTCとSECが代わってルールを整備しなければならない可能性があるという。
CLARITY法案の頓挫後、CFTCとSECが相次いで動く
CFTCが新たに提示した暗号資産規制の枠組みには、暗号資産取引プラットフォームを対象とする新しい連邦区分の創設も盛り込まれている。要件を満たした取引所を、CFTCの直接監督下に置く構想だ。
一方、SECも暗号資産をめぐる複数の施策を進めている。
SECは木曜日、投資顧問業者を対象とした暗号資産のカストディ規則を一部緩和する案を提示した。これとは別に、トークン化された米国株の取引を限定的に認め、暗号資産に証券法をどのように適用するかについても新たな指針を公表している。

