
【AI債務の"保険料"が過去最高】韓国株、わずか2日で約101兆円が"蒸発"――半導体ショックはビットコインを直撃、次に崩れるのは米ハイテク大手か
アジアの半導体株が、ドミノ倒しのように崩れ落ちた。震源地・韓国ではサーキットブレーカーが連日発動、KOSPIは17%近く暴落し、時価総額にして約101兆円(6,200億ドル)が一瞬で消えた。動揺は株式から債券市場へと飛び火し、〈AIバブル〉の借金に掛ける"保険料"はついに史上最高値をつけた。若者たちのレバレッジ投機、そしてオラクルとオープンAIを巡る不気味な影――。市場を覆う「完璧でなければ許されない」という重圧の正体に迫る。

韓国、2日で約101兆円が"消失"
火種は水曜日、再びくすぶり始めた。韓国株式市場は歴史的な売りに二日連続で見舞われ、市場全体のサーキットブレーカーが再発動、取引は強制停止に追い込まれた。火曜日の急落と合わせ、KOSPIはすでに17%近くを吹き飛ばし、時価総額にして約101兆円(6,200億ドル)が消えてなくなった計算だ。事態を重く見た政府は、金融当局の緊急会合を招集する騒ぎとなっている。
売りの引き金を引いたのは、SKハイニックスの第2四半期決算の"未達"だった。同社株はこの日さらに4%下落し、火曜日の15%安に追い打ちをかけた。サムスン電子と合わせれば、両社だけで韓国株指数のほぼ半分を占める巨大な存在である。

Current KOSPI sell-off on a high timeframe. Source: Kobeissi Letter, TradingView
住宅価格の高騰に手が届かず、締めつけの厳しくなる労働市場に喘ぐ――。そんな韓国の若い世代の間では、いちかばちかの一発逆転を狙うハイリスク商品への"賭け"が、じわじわと人気を集めていた。今回の暴落が直撃したのは、まさにこうしたリスクを愛する若年層の個人投資家たちだ。彼らはもともと暗号資産セクターに強い愛着を抱いていたが、ここ数カ月はAI・半導体株へとなだれ込んでいた。韓国の暗号資産取引高が28%減少する一方、KOSPIは年初来で見ればなお31%高い水準にある。
5月、個人向けの個別株レバレッジ型ETF(上場投資信託)が認可・上場されると、個人投資家たちは市場へと吸い寄せられ、さらなるレバレッジ(借金による投資)を積み上げていった。これら商品の運用資産残高は、7月には500億ドル(約8兆円)を突破。だが連日の手痛い損失を受け、いまや政府高官はこの決定を謝罪し、個別株レバレッジ商品の個人取引を再び禁止するよう求めるに至っている。
今回の暴落は、半導体・AI株が"一分の隙も許されない完璧な業績"を前提に買われてきたことを、改めて浮き彫りにした。セクターの強気すぎる成長目標が達成できなければ、下落余地は計り知れない。実際、ハイニックスは営業利益60兆5,400億ウォン(412億5,000万ドル=約6兆7,000億円)と過去最高を叩き出し、前年同期比557%増という驚異的な伸びを見せた。それでもなお、この数字はアナリスト予想の64兆ウォン(約7兆1,000億円)に届かなかったのである。
"債券自警団"がAI相場を睨む
半導体株の暴落は、AI相場全体に広がる〈疲労〉のサインと軌を一にしている。このセクターに積もり続ける不確実性は、ついに株式市場から信用(クレジット)市場へと波及した。米巨大クラウド企業=ハイパースケーラー上位5社――アマゾン、メタ、マイクロソフト、グーグル、そしてオラクル――を束ねた5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、ここ数カ月で115ベーシスポイントから162ベーシスポイントへと跳ね上がり、いまや過去最高値に達している。CDSとは、債券の保有者が定期的な手数料を相手方に支払う代わりに、対象となる借り手が債務不履行(デフォルト)に陥った際に補償を受け取れる――いわば〈借金の保険〉のような商品だ。同じ満期の国債と比べたとき、そこから浮かび上がる信用スプレッドは、さらに不気味な絵図を描き出す。
市場は現在、これら企業が5年以内にデフォルトする確率を12%と織り込んでいる。セージ・アドバイザリーによれば、ハイパースケーラー各社はフリーキャッシュフローがマイナスに転じるなか、9月以降でドル建て債務の総額を2倍以上に膨らませ、3,600億ドル(約59兆円)超に達したという。信用リスクの最大の元凶は、AIへの猛烈な投資に走ったオラクルだ。同社は膨大な受注残を誇るものの、その相当部分がオープンAIというたった一つの顧客に紐づいている。そのオープンAIはといえば、キャッシュフローの創出に苦しみ、IPO(新規株式公開)を先送りにしているのが実情である。
アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタの2026年設備投資額の見通しは、合計で7,250億〜7,300億ドル(約119兆円)に達する勢いだ。あのアルファベットでさえ、クラウド部門が82%成長を記録したにもかかわらず、第2四半期に59億ドル(約9,650億円)という記録上初のキャッシュバーン(資金流出)を計上した。メタは本日、米国市場が引けた後に第2四半期決算を発表する予定である。

