
アルトコインに42兆円超の売り圧力 資金は暗号資産から株・AI・ステーブルコインへ逃げたのか
アルトコインのスポット需要は6年ぶりの低水準に沈んだ。一方で、ステーブルコインの時価総額、株式市場、そしてAI業界は、なお投資家の視線を奪い続けている。

イーサ(ETH)を除いたアルトコイン市場で、中央集権型取引所におけるネット売り越し額が、最近になって2,660億ドル(約42兆7,302億円)に達した。スポット需要の追跡が始まった2020年以降、最も深い水準である。
一方で、6月16日のバイナンス先物取引高を見ると、アルトコインが全体の51%を占めた。ビットコインは28.85%、イーサは20.20%だった。2026年のデリバティブ市場において、バイナンスが主導的な存在であることを改めて示す数字だ。
記録的な売り越しと、なお支配的な取引活動。この二つの乖離は、資金が暗号資産市場の中で回転しているだけでなく、別の取引所商品にも流れ込んでいる可能性を物語っている。
資金流出でも、アルトコイン取引はなお活発
暗号資産アナリストのITテック氏は、ビットコイン(BTC)とイーサ(ETH)を除いたアルトコインの1年累計の買い・売り差額が、6月16日にマイナス2,660億ドル(約42兆7,302億円)まで落ち込んだと指摘した。

One-year cumulative buy-sell volume for altcoins. Source: CryptoQuant
現在の数値は、長期にわたって売り圧力が買い需要を上回ってきたことを示している。その結果、累計バランスは過去最低水準まで沈み込んだ。
だが、アルトコインの取引活動は別の顔を見せている。データによれば、6月16日の1日あたり先物取引高に占めるアルトコインの割合は51%だった。これに対し、ビットコインは28.85%、イーサは20.20%にとどまった。2025年の大半において、アルトコインは取引所の売買高を主導してきた。例外は、2月にビットコインが一時的に同セクターを上回った時期だけである。

Volume dominance between BTC, ETH, and altcoins. Source: CryptoQuant
先物取引が高水準で推移する一方、スポット需要は深くマイナスに沈んでいる。この組み合わせは、新たなスポット資金の流入というよりも、アルトコイン市場内で資金が再循環していることを示している。投資家は今なおアルトコインを取引している。だが、全体として見れば、スポット買いは売りの出来高に追いついていない。
暗号資産の流動性はアルトコインの外へ
市場アナリストのモレノDV氏は、取引所に置かれているステーブルコイン残高が2024年12月以降、ほとんど変化していないと指摘した。ERC-20ステーブルコインの取引所供給比率は0.40〜0.46の間で推移している。つまり、流通しているステーブルコインのおよそ40〜46%が、1年以上にわたり取引所に置かれ続けているということだ。

Stablecoins (ERC20) exchange supply ratios. Source: CryptoQuant
同じ期間、ビットコインは50%を超える値動きを見せ、6万ドル(約964万円)から12万ドル(約1,928万円)の間で取引された。バイナンスはステーブルコイン総供給量の25〜30%を保有し、取引所に置かれた準備金の半分以上を占めていた。これは、流動性そのものは市場に残っている一方で、資金投入の対象がより選別的になっていることを示している。
その資金の一部は、暗号資産取引所が提供する伝統資産型の商品へ向かっているようだ。クリプトクオントによれば、金と銀の価格が過去最高値に達した2026年3月、金属先物の取引高は5,000億ドル(約80兆3,200億円)近くまで膨らんだ。
また、プレIPO無期限先物商品の取引活動も急拡大した。3月にはわずか200万ドル(約3億2,128万円)だったが、5月には7億1,500万ドル(約1,149億円)、6月には20億ドル(約3,213億円)に達した。
バイナンスは6月、プレIPO無期限先物で103億ドル(約1兆6,546億円)の取引を処理した。これは5月全体の約20倍にあたる規模であり、同分野の約83%を支配していた。
金属、原油、株式、プレIPO契約の成長は、取引所ユーザーが流動性をより幅広い資産へ振り向けつつあることを浮き彫りにしている。そして、すぐに動かせるステーブルコイン資本の最大の集積地として、バイナンスの存在感はなお際立っている。

