ステーブルコインUSDTの発行元であるテザーは、スマートフォンや非Nvidia製GPUを含む一般消費者向けハードウェア上で、大規模言語モデル(LLM)のファインチューニングを可能にする新たなAIトレーニングフレームワークを発表した。
火曜日の発表によると、このシステムは同社のQVACプラットフォームの一部であり、マイクロソフトのBitNetアーキテクチャとLoRA技術を活用することで、メモリおよび計算リソースの要件を削減する。これにより、AIモデル開発におけるコストやハードウェア面の障壁を引き下げる可能性がある。
このフレームワークは、AMD、インテル、アップルシリコンに加え、クアルコムやアップルのモバイルGPUなど、さまざまなチップ上でのクロスプラットフォーム学習および推論に対応している。
テザーによると、同社エンジニアは最大10億パラメータのモデルをスマートフォン上で2時間未満でファインチューニングできたほか、小規模モデルであれば数分で処理可能だった。また、モバイル端末上でも最大130億パラメータ規模のモデルに対応しているという。
BitNetの1ビットモデルアーキテクチャを採用することで、従来の16ビットモデルと比較してVRAM要件を最大77.8%削減できると同社は説明する。これにより、限られたハードウェアでもより大規模なモデルの実行が可能となる。
さらに、1ビットモデルにおいて非Nvidiaハードウェア上でのLoRAファインチューニングも可能となり、従来AIトレーニングで主流だったGPU環境以外にも対応範囲が広がる。
同社は推論性能の向上にも言及しており、モバイルGPUではBitNetモデルがCPUよりも数倍高速に動作するとしている。また、デバイス上での学習やフェデレーテッドラーニングといった用途にも対応し、データを中央サーバーに送信することなく分散環境でモデル更新が可能になる。これによりクラウドインフラへの依存低減も見込まれる。
仮想通貨企業によるAI分野進出
テザーのAIインフラ参入は、仮想通貨企業が計算資源や機械学習分野へ進出する動きの一環であり、ビットコインマイニングやAIエージェントの台頭とともに加速している。
2025年9月には、グーグルがAIデータセンター容量に関連する10年30億ドルの契約の一環として、サイファー・マイニングの株式5.4%を取得した。
同年12月には、ビットコインマイナーのIRENがAIインフラ資金として約36億ドルの調達計画を発表している。
この流れは2026年も続いており、2月にはハイブ・デジタル・テクノロジーズがAIおよび高性能コンピューティング(HPC)事業の成長を背景に、過去最高となる9310万ドルの売上を報告した。また3月にはコア・サイエンティフィックがモルガン・スタンレーから5億ドルの融資枠を確保し、最大10億ドルまで拡大可能としている。
マイニング企業がAIおよびHPCへシフトする中、取引やサービス連携、タスク実行を自律的に行うAIエージェントも仮想通貨分野で存在感を高めている。
2025年10月にはコインベースが、AIエージェントによるオンチェーン取引を可能にするウォレットインフラを導入した。先月にはアルケミーが、Base上でUSDCを用いてブロックチェーンサービスへアクセスできるエージェント向けシステムを公開している。
さらに2月にはパンテラとフランクリン・テンプルトンが、センティエントの企業向けAIエージェント検証プラットフォーム「Arena」に参加した。

