
ストラテジーのビットコイン投資に黄信号 含み損1.8兆円、セイラー氏は「売り時ではない」と強気
ビットコイン価格が同社の平均取得価格を下回ったことで、同社が掲げてきた「ビットコイン財務戦略」に、改めて厳しい視線が注がれている。ストラテジーは現在、84万3706BTCを保有している。平均取得価格は1BTCあたり7万5699ドル、日本円にして約1211万円。取得総額は638億ドル、約10兆2080億円にのぼる。

マイケル・セイラー氏率いるストラテジーのビットコイン保有分が、ついに“水面下”へ沈んだ。
ビットコイン価格が同社の平均取得価格を下回ったことで、同社が掲げてきた「ビットコイン財務戦略」に、改めて厳しい視線が注がれている。
ストラテジーは現在、84万3706BTCを保有している。平均取得価格は1BTCあたり7万5699ドル、日本円にして約1211万円。取得総額は638億ドル、約10兆2080億円にのぼる。
だが、足元のビットコイン急落で、同社のビットコイン準備資産の評価額は526億ドル、約8兆4160億円まで目減りした。ストラテジーのダッシュボードによれば、含み損は112億ドル、約1兆7920億円に膨らんでいる。
同社の変動利率型永久優先株「STRC」も、想定されていた100ドル、約1万6000円の水準を割り込み、執筆時点では94.6ドル、約1万5136円で取引されている。ヤフー・ファイナンスのデータによれば、ストラテジー株(MSTR)も木曜日の時間外取引で1.5%下落し、124.7ドル、約1万9952円となった。
含み損の拡大は、ストラテジーのビットコイン財務モデルへの疑念を強めている。ビットコインが同社の平均取得価格を下回るなか、STRC価格の下落は、今後のビットコイン取得資金をまかなうための優先株発行にも影を落としかねない。数日前には、ストラテジーが32BTCを売却したことを発表していた。これは2022年以来、初の売却だった。

Strategy dashboard with key metrics on its Bitcoin reserve. Source: Strategy.com
弱気の見方に対し、セイラー氏は木曜日、反論した。
同氏は、ビットコイン現物ETFからの資金流出が「BTCを圧迫している」と指摘。その一方で、過去6カ月間に資本市場からAIインフラへ4000億ドル、約64兆円が流れ込んだとも述べた。
「これは資本のローテーションであり、ビットコインの毀損ではない。ボラティリティは機会を生む」
セイラー氏はXへの投稿でそう強調した。

Source: Michael Saylor
ビットコイン価格は過去24時間で約4.7%下落し、過去1週間では13.8%安となっている。トレーディングビューによれば、執筆時点の価格は6万3157ドル、約1011万円。過去1カ月では20%超の下落となった。コインテレグラフが木曜日に報じたところでは、ビットコイン現物ETFからは直近13営業日で44億ドル、約7040億円の資金が流出している。

BTC/USD, 1-month chart. Source: Cointelegraph/TradingView
もっとも、市場関係者のなかには、STRCの値動きについて「異常ではない」と見る向きもある。
著名投資家でポッドキャスト司会者のスコット・メルカー氏は、こう書いている。
「STRCの額面100ドルは価格の下限ではない。清算優先権や一部の償還条項に使われる基準価額だ」
さらに同氏は、額面に対して5%程度ディスカウントされていることは、何かが壊れている証拠ではないと指摘した。投資家がより高い利回りを求め、リスクを織り込み、市場環境に反応しているだけであり、「それこそ優先株が通常行うことだ」というわけだ。
一方で、楽観的でない声もある。
金投資家で、長年ビットコインに批判的なピーター・シフ氏は、STRCの価格が下がれば下がるほど、MSTRは株価を100ドル、約1万6000円へ戻すために配当支払いを引き上げざるを得なくなると指摘した。そうなれば、同社の現金は想定より早く尽き、支払い原資を確保するためにビットコイン売却が前倒しされる可能性がある、というのだ。
スタンダードチャータード「底打ちは近い」 鍵はストラテジーの次の一手
売りが広がるなかでも、スタンダードチャータードは、ビットコイン市場の底打ちは近い可能性があると見ている。ただし、その判断はストラテジーの次の購入に左右される。
同社のデジタル資産リサーチ責任者、ジェフリー・ケンドリック氏はこう述べた。
「もしそうなれば、安値を付けた暫定的なサインと見る。そうした論理に立てば、週末の売りは限定的になると考える」
ケンドリック氏によれば、ストラテジーが直近の売却分の10倍にあたる320BTC、あるいは100倍にあたる3200BTCを購入すれば、市場の底打ちを示すシグナルになり得るという。
ストラテジーは2022年にも、節税目的で704BTCを売却したことがある。その際、同社はわずか2日後に810BTCを買い戻していた。

