現実資産、いわゆるRWAのトークン化を手がけるセキュリタイズが、いよいよウォール街の表舞台に近づいている。
同社は、SPAC(特別買収目的会社)との合併を通じた上場計画を進めてきたが、その重要な関門のひとつだった書類が、米証券取引委員会(SEC)に承認された。
SECが有効と認めたのは、キャンター・フィッツジェラルド傘下の関連会社がスポンサーを務める上場SPAC、キャンター・エクイティ・パートナーズIIと、セキュリタイズによるフォームS-4登録届出書である。
セキュリタイズの共同創業者でCEOのカルロス・ドミンゴ氏は、今回の動きについて「セキュリタイズにとって、そしてトークン化の機関投資家による採用拡大にとって、またひとつ重要な節目だ」と語った。
次の焦点は、6月29日に予定されている株主投票だ。ここで承認されれば、統合後の会社は「セキュリタイズ・コープ」としてニューヨーク証券取引所に上場する見通しだ。ティッカーは「SECZ」。投資家は、世界最大級のRWAトークン化企業に、上場株式という形でアクセスできることになる。
セキュリタイズの運用資産は40億ドル、日本円で約6414億円にのぼる。同社は、アポロ、ブラックロック、BNY、ヴァンエックなど大手資産運用会社と組み、トークン化ファンドを提供している。第1四半期の売上高は1950万ドル、約31億円。前年同期比で39%増となった。
ニューヨーク証券取引所も、すでにこの流れに足を踏み入れている。NYSEは3月、ウォール街向けにブロックチェーンベースの株式取引インフラを開発する取り組みの一環として、セキュリタイズと基本合意書を交わしていた。

Securitize is the largest tokenization platform by market share. Source: RWA.xyz
RWAトークン化市場、12カ月で220%拡大
暗号資産市場全体が弱気相場に沈むなかでも、株式や米国債といった現実資産のトークン化には、強い追い風が吹いている。
RWA.xyzによれば、ステーブルコインを除くオンチェーン上のRWA総額は5月に過去最高の320億ドル、約5兆1315億円に達した。過去12カ月で約220%の増加である。
オンチェーン資産のほぼ半分を占めているのは、トークン化された米国債だ。次いで、トークン化されたコモディティが約16%を占める。一方、トークン化株式の市場シェアはまだ小さく、4.8%、金額にして15億ドル、約2405億円にとどまっている。
ブロックチェーン別に見ると、主役は依然としてイーサリアムとレイヤー2ネットワークだ。両者を合わせた市場支配率は60%を超えている。
現実の株式や国債を、ブロックチェーン上で扱う――。かつて暗号資産業界の実験と見られていた構想は、いまやブラックロックやNYSEを巻き込みながら、金融市場の本丸へとじわじわ入り込んでいる。セキュリタイズの上場計画は、その象徴的な一幕と言えそうだ。

