
ロシア「デジタル・ルーブル」9月開始へ EU制裁済みの国家デジタル通貨で“ドル包囲網”突破を狙う
ロシアによるウクライナ侵攻への対抗措置として、EU当局は2025年の時点で、同国のデジタル・ルーブルに先手を打つ形で制裁を科していた。

ロシア中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁は、同国が中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタル・ルーブル」を、2カ月後に導入する準備が整ったと明らかにした。昨年示していたスケジュール通りの展開となる。
ロシア国営メディアRIAノーボスチが木曜日に報じたところによると、ナビウリナ氏は、9月1日のデジタル・ルーブル開始に向けて「全員が準備できている」と述べた。CBDCは、ロシアの法定通貨ルーブルを補完するものとして導入され、当初は金融機関や信用機関で受け入れられる予定だ。
ナビウリナ氏は、翻訳された声明の中でこう語った。
「われわれは、デジタル・ルーブルが国民や企業に求められ、便利なものになることを望んでいる。当然ながら、どのような機能を開発していくべきかについても、継続的に議論している」

Pile of 5,000 ruble banknotes next to a keyboard on a white surface, viewed from above. Source: Polina Tankilevitch, Pexels
デジタル・ルーブルの開発は2021年に始まった。しかしその導入を前に、すでに欧州連合(EU)当局による先制的な制裁の対象となっている。EUは4月、このCBDCに対する制限措置を発表した。欧州理事会は、この制裁パッケージについて、ロシアが2022年2月に開始した「ウクライナに対する侵略戦争」への対応だとしている。
ロシア中央銀行のウラジーミル・チスチューヒン第1副総裁によれば、デジタル・ルーブルを可能にする法律は9月1日に施行され、2027年7月まで移行期間が設けられる。
1990年代に米国際開発庁(USAID)の技術顧問としてロシア政府に関わったジャック・ジャーモン氏は、2025年2月の報告書で、ロシアのデジタル・ルーブル計画が失敗し、ビットコイン(BTC)やその他のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)型デジタル通貨に制裁回避の手段として依存することになれば、同国は「構造的な制約」に直面し得ると指摘した。
ジャーモン氏は、PoWマイニングに言及しながら、こう述べている。
「ロシアには石油とガスの余剰が豊富にある一方で、それ以外のエネルギーインフラは、このような大幅な電力需要の増加に対応するには適していない。電力網は老朽化しており、投資と更新が必要だ」
さらに、同氏はこう続けた。
「プーチンが回避しようとしている制裁は、ロシアを金融資本と技術から切り離している。同国には自国の需要を満たす国内半導体産業がなく、部品については中華人民共和国に依存せざるを得ない」
米国では「4年間CBDC禁止」法案を大統領が検討
ロシアとは対照的に、米国では中央銀行がCBDCを発行、または創設することを2030年まで禁じる措置が、成立まであと一歩のところまで来ている。
今週、ドナルド・トランプ米大統領のもとに「21世紀ROAD住宅法」が送付された。これは住宅関連法案だが、住宅価格の手頃さに関する一連の法律パッケージの一部として、デジタル・ドルの禁止条項が盛り込まれている。
トランプ氏は、この法案には署名しない意向を示している。共和党がまず、有権者登録の際に米国市民権の証明を対面で提示することを義務付ける法案を通すべきだ、というのがその理由だ。
ただし、大統領が何もしなければ、法案は10日後に自動的に法律となる。このスケジュールであれば、7月中に発効することになる。
ロシアが制裁下でデジタル・ルーブルを押し出す一方、米国ではデジタル・ドルに待ったがかかる。CBDCをめぐる攻防は、もはや単なる決済技術の話ではない。通貨主権、制裁、金融インフラ、そして国家の思惑が交錯する、きわめて政治的な戦場になりつつある。

