
メルク、商品が本物か証明するブロックチェーン技術を導入 EU規制対応でヘデラ活用
ハッシュグラフ・グループとメルクは、ドイツの科学技術大手メルクが持つ製品認証技術を、ヘデラ基盤のデジタル製品パスポート・プラットフォーム「トラックトレース」に統合した。トラックトレースは今年2月に発表されたばかりのサービスで、企業が欧州連合(EU)の新たなサプライチェーン透明化・追跡要件に対応することを狙う。

欧州の規制強化をにらみ、サプライチェーンの「見える化」をめぐる企業の動きが加速している。
ハッシュグラフ・グループとメルクは、ドイツの科学技術大手メルクが持つ製品認証技術を、ヘデラ基盤のデジタル製品パスポート・プラットフォーム「トラックトレース」に統合した。トラックトレースは今年2月に発表されたばかりのサービスで、企業が欧州連合(EU)の新たなサプライチェーン透明化・追跡要件に対応することを狙う。
今回の仕組みでは、メルクの「Mトラスト」技術が製品や包装にセキュリティマーカーを埋め込む。これを手持ち型スキャナーで読み取ることで、製品の真贋を確認できるという。その認証データは、ハッシュグラフ・グループのトラックトレース上に記録され、製品ごとの「デジタル製品パスポート」とひもづけられる。
両社によれば、この統合により、物理的な製品認証とブロックチェーンを使ったトレーサビリティが結びつく。つまり企業は、製品そのものが本物かどうかだけでなく、その製品に付随する記録の信頼性も検証できるようになるというわけだ。

Source: The Hashgraph Group on X.com
このプラットフォームが照準を合わせているのは、EUで整備が進む二つの規制枠組みである。一つは「持続可能な製品のためのエコデザイン規則」に基づくデジタル製品パスポート。もう一つは、EU森林破壊防止規則に基づくトレーサビリティ要件だ。
メルクは、ヘルスケア、ライフサイエンス、エレクトロニクスを主力とする科学技術企業である。一方、スイスに拠点を置くハッシュグラフ・グループは、ヘデラ・エコシステム内で企業向けのブロックチェーンおよびAIアプリケーションを開発している。
両社によれば、この技術はすでに、詳細非公表のサプライチェーン実証実験で披露されている。想定される用途は、食品、医薬品、高級品、電子機器などのサプライチェーンだ。いずれも、原材料の調達経路や製品の真正性について、企業がより厳しい目で見られる分野である。
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EUのサステナビリティ規制が、製品追跡市場を押し広げる
今回の協業の背景には、EUの「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」に基づくデジタル製品パスポート要件がある。同規則は2024年7月に発効した。
この規則は、EUで販売される大半の物理的製品を対象とする。EUの包括的な環境政策「欧州グリーンディール」の一部であり、資源効率を高め、循環型経済を広げ、製品の環境影響に関する透明性を引き上げることを目的としている。

Source: European Commission
ブロックチェーンを使った貿易・サプライチェーン基盤への関心は、EUにとどまらない。
今年3月には、香港と上海の当局が、香港金融管理局の「プロジェクト・アンサンブル」の下で、ブロックチェーン基盤の越境プラットフォームを研究することで合意した。同プロジェクトは、トークン化された市場インフラやデジタル金融基盤を探る取り組みである。
この研究では、貿易書類や商業データを貿易金融アプリケーションにどう組み込むかを検討する。目的は、国境をまたぐ商取引と、それに付随する金融サービスをより円滑にすることだ。
規制対応という名の「守り」の仕組みが、ブロックチェーン企業にとっては新たな商機になりつつある。暗号資産の値動きとは別のところで、分散型台帳技術は、静かに企業のサプライチェーンへ入り込もうとしている。

