
フランス、量子コンピューター対策なしの製品を認証停止へ 2027年から新ルール
フランスのサイバー当局がついに線を引いた。量子耐性暗号を備えない製品は2027年から認証の対象外となり、2030年までの全面移行が迫られる。

フランスの国家サイバーセキュリティ機関であるANSSIは火曜日、量子耐性暗号を備えていないセキュリティ製品について、今後は認証を停止すると明らかにした。各国政府のあいだで、量子コンピューターが既存の暗号技術を破るリスクへの警戒感が高まっていることを示す動きだ。
ロイターによれば、ANSSIの首席補佐官サミ・スイシ氏は「フランス・クアンタム2026サミット」で、2027年にこうした認証を停止すると述べた。さらに企業に対しては、2030年までに量子安全な製品のみを購入するべきだと訴えた。
コンサルティング会社アプライド・クアンタムの創業者であるマリン・イヴェジック氏は、リンクトインへの投稿でこう指摘した。
「ANSSIは何年も前から、この動きを示唆してきた。昨日変わったのは、ANSSIの首席補佐官がそれを主要な会議の場で、フランスの量子エコシステムを前に、しかもロイターがいる場で公言したことだ。指針はコミットメントになった」
ANSSIの認証は、フランス政府機関や重要インフラ事業者が製品を利用するうえで前提条件となっている。つまり今回の方針は、ベンダーに対し、2027年までにポスト量子暗号への対応能力を示さなければ、政府契約への道を失うことを意味する。
スイシ氏はこう語った。
「これは単なる技術的な問題ではない。ガバナンス、産業計画、規制、そして主権の問題だ」

ANSSI Chief of Staff Samih Souissi speaking at Orange OpenTech 2025 Source: YouTube
フランスの2027年という期限は、米国家安全保障局、NSAの動きとも歩調を合わせる。NSAは、国家安全保障システムすべてに対し、CNSA 2.0と呼ばれる量子耐性アルゴリズム群の使用を2027年までに求める方針を打ち出している。
CNSA 2.0では、国家安全保障システムの新規調達について、2027年1月1日までに承認済みアルゴリズムをサポートすることが求められる。非対応のシステムは2030年末までに段階的に廃止され、2031年末までには、すべての国家安全保障システムがCNSA 2.0のアルゴリズムを使用しなければならない。
イヴェジック氏は、こう述べている。
「世界で最も厳格な暗号認証機関のうち2つが、世界最大級の防衛・政府向けテクノロジー市場を相手に、それぞれ独立して、PQC、つまりポスト量子暗号を合否判定の必須条件にする年として同じ2027年に収れんした」
暗号資産業界も量子の脅威と向き合う
暗号技術に対する量子コンピューターの脅威は、暗号資産業界でも懸念を強めている。
5月、データ分析プラットフォームのグラスノードは、ビットコインの総供給量の約10%にあたる約192万BTCが、量子コンピューターの突破が起きた場合に「構造的に安全ではない」と推定した。
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4月には、コインベースが、イーサリアムやソラナを含むプルーフ・オブ・ステーク型ブロックチェーンについて、ネットワークを保護するバリデーターの署名方式のため、量子コンピューターによるリスクがより大きくなり得ると警告した。
ただし、コインベースは同時に、多くのブロックチェーンがすでに量子の脅威に備え、システムの強化に着手していることも認めている。
コインベースによれば、レイヤー1ブロックチェーンのアルゴランドは「完全な量子対応へ向けた段階的ロードマップ」を持ち、量子コンピューターに対して安全であることを目指した暗号技術を導入した初期のネットワークのひとつだ。
また、競合するレイヤー1ブロックチェーンであるアプトスについても、「ポスト量子安全な取引への移行に向けて、有利な位置にある」とした。
ソラナとイーサリアムも、量子の脅威に対応する明確なロードマップを作成している。そこには、署名方式を量子耐性のあるものへアップグレードすることも含まれている。

