
ジャック・ドーシーのブロック、AIツール「ビルダーボット」でコード作業15%を自動化
ブロックのAI機能責任者ブラッド・アクセン氏は、ビルダーボットについて「AIコーディングツールと、大規模な開発現場が実際にどう動いているのか――その間を埋める“欠けていた層”だ」と語った。

ジャック・ドーシー氏率いる金融サービス企業ブロックが、また一歩、AI時代の“現場”へ踏み込んだ。
同社は水曜日、AIネイティブの新ツール群を発表した。社内ではすでに、このツールが本番環境に反映されるコード変更の約15%を実行できるという。
その名は「ビルダーボット」。ブロックによれば、1日に20万件超のオペレーションをこなし、週に約1500件のプルリクエストをマージしている。
「ビルダーボットを理解する一番いい方法は、AIコーディングツールと、大規模なエンジニアリングの実務との間に欠けていた層だと考えることです」
そう語るのは、ブロックでAI機能を統括するブラッド・アクセン氏だ。同社はさらに、「これまで数カ月かかっていたことが、いまや数日で済む」と説明している。
この数字が示しているのは、もはや自律型AIエージェントが、実際に本番投入される仕事の一部を担い始めたという現実である。単なるコード生成アシスタントだったAIは、いまやコードを書くだけでなく、実務を動かす「AIソフトウェアエンジニア」へと進化しつつある。
このAIツールは、ブロックが2月に従業員の40%を削減した判断にも、新たな光を当てるものだ。ドーシー氏は当時、その理由として、社内でAI活用が急速に進んでいることを挙げていた。
ビルダーボットはブロックの全コードベースを理解する
ビルダーボットは、ブロック全体のコードベースを横断して、複数のAIエージェントを調整するオーケストレーション層だ。
一般的なコーディング支援ツールは、ひとつのリポジトリに閉じた作業に限られることが多い。だが、ビルダーボットはブロックの全コードベース、すべてのサービス、API、社内ルールを理解している。そのため、どのエンジニアでも、会社のどのシステムにも変更を加えられるという。
同社はこう説明する。
「キャッシュアップのエンジニアが、これまで触ったことのないスクエアのサービスに変更を加えることもできます。なぜなら、そのシステムがすでにサービスの仕組みを理解しているからです」
つまり、繰り返し作業はAIが引き受ける。エンジニアは、プロダクトの方向性を決める判断に集中する。そうすることで、開発の生産量は大きく引き上げられる。
アクセン氏はこう付け加えた。
「ひとつのアイデアが、バックログに眠ったまま数カ月を過ごすのではなく、数日で何百万人もの顧客の前に出るようになる、ということです」
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ブロックは、ビルダーボットの詳細を公表する理由について、AI支援型コーディングからAIネイティブ・エンジニアリングへの移行こそが、「いまテクノロジー業界で最も重要な議論のひとつ」だと考えているためだと説明した。
「私たちが解いている問題は、ブロックだけのものではありません。巨大なコードベース全体でAIエージェントをどう統制するのか。スピードを上げながら品質をどう維持するのか。人間を足場作りではなく、判断やセンスに集中させるにはどうするのか。これは業界全体の課題です」
AIエージェントがコードを書く時代に
ソフトウェア開発にAIエージェントを導入しているのは、ブロックだけではない。
スポティファイのエンジニアたちは、「ホンク」と呼ばれるバックグラウンド型コーディングエージェントを使っている。これは、アンソロピックのエージェントSDKを通じて、クロードの一種を動かす仕組みだ。
共同CEOのグスタフ・セーデルストレム氏は、2月の決算説明会で、スポティファイの優秀な開発者たちは「12月以降、一行もコードを書いていない」と語った。
グーグルのサンダー・ピチャイCEOも4月、同社の新規コードの4分の3はAIによって生成されていると述べている。
さらに、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは2025年、同社のソフトウェアを支えるコードの20〜30%をAIが書いていると明かしていた。
かつてAIは、エンジニアの横で候補を出す“補助輪”だった。だがいまや、その補助輪は、企業の開発現場そのものを回し始めている。
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